- ハピすむ
- >
- 不動産売却
- >
- 不動産売却の税金・諸費用
- >
2024年08月22日更新
居住用不動産の売却で受けられる3000万円の特別控除とは?
不動産売却によって譲渡所得が生じた場合、税金がかかります。しかし居住用不動産の場合、売却益が3000万以下であれば特別控除が受けられます。ここでは税金控除の条件について、詳しく解説していきます。
目次
不動産売却時の課税譲渡所得にかかる税金について
不動産を売却した際に、利益があれば税金が課せられることは、多くの人が知るところです。
しかし、この不動産売却時の譲渡所得にかかる税金の計算は、実に複雑です。はたして、税金がどのように算出されるのか、詳しくみていきましょう。
課税譲渡所得とは
不動産を売却によって得た所得を譲渡所得といいます。
この譲渡所得に対して課税されるのですが、居住用の不動産の売却においては、特別控除があり、不動産売却益が3000万円を超えれば、譲渡取得に対し税金がかかる仕組みになっています。
譲渡所得に課せられる税率は、その不動産を保有した期間によって、長期譲渡所得か短期譲渡所得かに分類され、それぞれ異なった税率が適用されます。
不動産売却時の譲渡所得にかかる税金は、分離課税のため、実際に納税額を計算する際は、他の所得とは分けて計算します。
また、2037年までは、2.1%の復興特別所得税が課税されます。
ただし、確定申告は、他の所得と合わせて行います。
なお、譲渡所得の課税対象には借地権や耕作権の権利や海外に所在する不動産も含まれます。
課税譲渡所得金額の計算方法について
不動産の譲渡所得は、売却金額から、その不動産を購入した金額と譲渡にかかる費用を減じたものになります。
これを数式に表すと次のようになります。
譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)
取得費は、次に示す①と②のうちの金額の大きい方を採用します。
- ①不動産の購入代金と取得に要した費用の合算額から、建物の減価償却費を差引いた額
- ②譲渡収入金の5%相当額
建物の減価償却費は、次の数式から算出します。
建物の減価償却費=建物購入代金×0.9×減価償却率×経過年数
建物の減価償却率は、建物の構造によって区分されており、木造が0.031、軽量鉄骨造が0.025、鉄筋コンクリート造が0.015と定められています。
ところで、建物の減価償却費を算出する場合に、土地建物一体で購入した物件であれば、どうすればいいのでしょうか。
いくつかの方法がありますが、最も確実なのは消費税による算出です。
土地に対しては消費税がかからないので、購入時の契約書に書かれている消費税額は、建物に対して課せられた消費税ということになります。
この消費税額を手掛かりとして、購入当時課せられていた消費税率(3%・5%・8%)を用いて算出します。
これを数式に表すと次のとおりになります。
- 建物価格=(消費税額/消費税率)+消費税額
- 土地価格=購入金額-建物価格
この他にも、国税庁が示した「建物の標準的な建築価額表」により、建物の面積当たりの単価を抽出して算定する方法があります。
建物が古くて、取得金額の手掛かりが何もない場合は、譲渡収入金の5%相当額を取得費とみなすことが出来ます。
次に、譲渡費用のご説明をします。
譲渡費用とは、譲渡をする際に直接掛かった費用のことで、「土地や建物を売るために支払った仲介手数料」や「印紙税で売主が負担したもの」が該当します。
したがって、建物の修繕費や固定資産税などの維持管理に要した費用は含まれません。
課税譲渡所得金額の税率について
不動産の譲渡所得の税率は、不動産の所有期間によって異なります。
不動産の所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得に、5年を超える場合は長期譲渡所得に区分されます。
この所有期間は、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年を超えているかどうかで判断をします。
それぞれの税率は、長期譲渡所得の場合の所得税は15%で住民税は5%、短期譲渡所得の場合の所得税は30%で住民税は9%となります。
居住用不動産売却時の3000万円特別控除について
不動産の譲渡所得に課せられる税について説明をしてきましたが、マイホームの売却には、3000万円の特別控除があるため、税額を相当低く抑えることができます。
この3000万円控除を受けるには、どのような条件が必要なのでしょうか。詳しくみていきましょう。
居住用不動産を売却して譲渡益がある場合は3000万円特別控除を受けられる
自宅を売って譲渡益がある場合は、課税譲渡所得金額を計算する上で最高3000万円が控除されます。
この控除を利用した譲渡所得にかかる税金の計算式は次のようになります。
課税額=(譲渡所得-3000万円)×税率
居住用不動産とは、自分が住んでいた自宅をいいます。
現に住んでいなくても、従前に住んでいた住宅であれば、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却すれば適用されます。
このため、転勤などにより他都市で暮らしている間、自宅を貸家として貸し出していたとしても、上記の期間内であれば、特別控除が適用されます。
ただし、家屋を取り壊していた場合は、家屋を解体した日から1年以内に譲渡契約を結び、住まなくなった日から3年が経過する年の12月31日までに売らなくてはいけません。
この期間中については、貸駐車場などの他の用途に使用してはいけないという条件があるので、注意が必要です。
特別控除は、自宅を売却すれば必ず適用されるというものではなく、売却した年の前年又は前々年に適用を受けていた場合は利用できません。
したがって、今年適用されれば、次に適用されるのは3年目以降になります。
売却先にも条件があり、特定の親族や同族会社への譲渡は適用外となります。
また、買換え特例、譲渡損失の繰越控除、住宅ローン控除との併用は認められません。
ただし、所有期間10年超の居住用不動産売却による軽減税率の特例とは併用できます。
この所有期間10年超の居住用不動産売却による軽減税率の特例とは、所有期間が10年を超えているものについては、税率が軽減されるという特例制度です。
相続した不動産を売却する場合の3000万円特別控除について
親の家を相続した場合にも、譲渡所得から3000万円が控除される制度があります。
これは、平成28年の法改正で新たに導入されたもので、空き家対策の一環として、家屋の売却促進を狙いとしたものです。
相続人の居住用家屋を譲渡した場合に受けられる3000万円特別控除については、いくつかの条件があります。
耐震基準を満たしている建物であれば、土地家屋共に控除が適用されますが、基準を満たしていない家屋の場合は、解体をして土地のみの売却であれば適用されます。
また、相続があった日から3年を経過する年の12月31日までに売らなくてはいけません。売却代金にも条件があり、1億円を超える場合には適用されません。
居住用不動産売却における3000万円特別控除の注意点
居住用不動産売却における3000万円特別控除については、いくつか注意する点があります。
まず、店舗併用住宅を売却した場合についてですが、この場合は、住宅部分しか適用が受けられません。
売却金額から、それぞれの面積に応じて算出し、住宅部分相当額を特例の対象とします。
ただし、90%以上が住宅の場合は、建物のすべてを住宅とみなすことができます。
共有名義の居住用不動産を売却した場合は、ひとつの不動産で3000万円の特別控除があるのではなく、それぞれの所有者に対して特別控除が適用されます。
それでは、居住用不動産の土地と建物の名義人がそれぞれ異なる場合はどうでしょうか。
まず特例が適用される条件として、それぞれが生計を一つにした親族で、この家屋に居住している必要があります。
この場合、建物所有者は特別控除が適用されますが、土地所有者は、建物所有者と合計して3000万円の控除しか受けられません。
つまり、建物所有者に3000万円の特例控除が適用された場合は、土地の所有者に適用される控除額は、0円ということになります。
土地と家屋を夫婦でそれぞれ1/2ずつ所有していれば、2名がそれぞれに特別控除が適用されるのに対して、土地が夫、家屋が妻という所有区分であれば、二人合わせて3000万円しか適用されないことになります。
売却を予定しているのであれば、家族の所有区分について、もう一度見直して、可能な限り節税ができる区分に変更した方がいいでしょう。
居住用不動産売却時に譲渡損失が発生した場合の繰越控除について
居住用不動産を売却時に譲渡損失がある場合、繰越控除を受けることができる
自宅を売却して譲渡損失が発生した場合、売却した年のその他の所得と相殺して、所得税や住民税を軽減することができます。
所得より譲渡損失が大きく相殺できない場合は、譲渡損失の繰越控除を受けられる場合があります。
繰越控除は、売却した年と合わせて最長で4年間の適用が可能です。
マイホームの買替え時に受けられる譲渡損失の繰越控除について
マイホームの買替えの場合に受けられる譲渡損失の繰越控除として、「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」があります。
適用を受けると、マイホームの買替えで損失が発生した場合、譲渡損失をその年の合計所得から控除する損益通算が可能となります。
損益通算は、所得の損失が生じた場合、他の所得からその損失金額を差引くことができる制度です。
所得の損失が生じていた場合、損益通算によって他の所得と相殺し、税額を減らすことが期待できます。
また、その年の損益通算後の控除しきれない損失について、翌年から3年間にわたって繰越控除できます。
その年に生じた損失額を、翌年以後3年間の所得金額の計算上、損失として差引くことができる控除の方法です。
例えば、譲渡損失が2000万円の場合、毎年の所得合計が600万円であれば、3年間は課税されないことになります。
この特例が利用できる条件としては、売却する自宅の所有期間が5年を超えること、敷地面積が500平方メートル以内の部分までが対象となること、合計の所得金額が3000万円以下であることなどが挙げられます。
また、買替え先の新居も、床面積50平方メートル以上の建物を売却の前年1月1日から翌年12月31日までに取得、翌年12月31日までに居住、償還期間10年以上の住宅ローンを組むといった条件があります。
マイホームを買替えなくても受けられる譲渡損失の繰越控除について
マイホームを買替えなくても受けられる譲渡損失の繰越控除として、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」と呼ばれる制度があります。
この制度は、居住する不動産を売却しても住宅ローンの残額がある場合、その年に損益通算しても残る控除額について、翌年から3年以内の範囲で、他の所得を加えた総所得から繰越控除を受けることができるものです。
ただし、繰越控除の額は、売却前日の住宅ローン残高から売却価格を差し引いた額が限度となります。
控除を受ける条件として、売買契約の前日に住宅ローンの残額があることが挙げられます。
また、所有期間や所得については、買替え時に受けられる繰越控除と同様の要件となります。
不動産売却時に譲渡損失が発生した場合の確定申告について
不動産売却時には損益に関わらず確定申告を
不動産の売却時に譲渡所得が発生した場合、給与所得などの他の所得と区分して計算する分離課税方式が採用されているため、必ず確定申告が必要です。
確定申告をしないと、罰則を受ける可能性があるとともに、売却益の税金控除を受けることもできません。
また、譲渡損失が生じた場合でも、特別控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
確定申告に必要な書類としては、確定申告書(申告書B第一表、第二表、申告書第三表(分離課税用))、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)、売買契約書、取得費及び譲渡費用等の領収書の写しなどがあります。
確定申告の方法については、売却した翌年の2月16日から3月15日の間、他の所得と一緒に行うことになります。
申告方法は、確定申告書に必要事項を記入し、現在の住所地を管轄する税務署の窓口に、直接提出するのが一般的です。
申告期間が約1カ月と短く、期限が近付くと税務署の窓口が混雑するために時間を要します。
窓口での手続き以外にも、郵送による申告書の送付や、税務署に設置されている時間外文書収受箱への投函、また、電子申告・納税システム(e-tax)による申告という方法も用意されています。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
一括査定をする