2024年01月24日更新

監修記事

不動産売却時の税金・諸費用の計算について解説!

不動産の売却に適した時期はあるのか

不動産 売却 タイミング

不動産の売却に適している時期は、引っ越しや人事異動で住居を探す人が多い「春」と「秋」と言われています。

しかし、不動産の売買にはオフシーズンというものがなく一年中いつでも行われており、家を買いたいと思い立つ時期も人によって様々です。

従って、売却のタイミングは時期を気にする必要はなく、一年間いつでも家を売ることができます。不動産業者に買取を依頼する場合、買取価格を査定する不動産会社の決算直前や、仕入れ状況により価格に若干影響する場合はあります。

ただし、「税金の優遇制度」を考慮した場合、売却に適したタイミングというものが出てきます。

不動産を売却したときの売却額は、全額が手元に残るわけではありません。不動産を売却すると、「売却額」に対して所得税が課せられます。

所得税は、売却額から「不動産を購入した価格」と「仲介手数料などの売却に要した費用」を差し引き、残った金額に対して課税されます。

売却額から不動産購入額を差し引くと金額がマイナスになってしまうため、不動産売却では所得税が発生しないケースがほとんどです。

しかし、土地の価格が購入時よりも値上がりしていた場合などには、売却額が購入額を上回って所得税が発生する恐れがあります。

可能な限り税金の優遇制度を利用して節税することが、不動産を賢く売却するポイントと言えるでしょう。

築年数から不動産売却に適したタイミングを考える

不動産の売却には、「特別控除」や「買換え特例」などの税金控除の特例があります。

また、売却する家の所有年数によって所得税の税率も変わってきますので、売却する際は家の所有年数や築年数を考慮しましょう。

マイホームを売却して譲渡益がある場合の特別控除について

マイホームを売却して譲渡益がある場合の特別控除の中に、「3000万円特別控除の特例」があります。

3000万円特別控除とはマイホームなど居住用の不動産を譲渡した場合、所有期間の長期短期に関係なく譲渡所得から最大3000万円を控除できる特例のことです。3000万円特別控除の計算式は以下の通りです。

  • 計算式:(譲渡所得ー3000万円)×税率

譲渡所得が3000万円未満の場合はその譲渡所得を上限として差し引かれるため、マイホームを譲渡して利益が3000万円未満の場合は税金がかからないという事になります。

3000万円特別控除を受けるためには下記の要件を満たす必要があります。3000万円特別控除の要件の詳細は下記の通りです。

【要件】

  • マイホームなど自らが居住している住宅や敷地、借地権を売却すること(以前住んでいた住宅や敷地などの場合、居住しなくなった日から3年目を経過する日を含む年の12月31日までに売却する)
  • 売却した年の前年および前々年に3000万円の特別控除の適用を受けていないこと
  • 住宅ローン控除との併用は不可
  • 売却した住宅や敷地が収用等の特別控除など他の特例(マイホームの買替え、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除、マイホームの交換の特例など)を受けていないこと
  • 災害によって住宅を滅失した場合、その敷地に居住しなくなった日から3年目の12月3日までに売却すること※東日本大震災で滅失した場合は災害日から7年を経過する日を含む12月31日までとなる
  • 売る人と買う人が親子や夫婦など特別な関係ではないこと※特別な関係とは、生計をひとつにする親族や内縁関係の人、住宅を売却した後に同居する親族、特殊な関係のある法人を含む

【適用の除外】

  • この特例を受ける目的で居住したと認められた住宅
  • 住宅を新築する期間中に仮住まいとして使用した住宅、一時的な目的で居住したと認められる住宅
  • 別荘などの娯楽や保養などの目的で所有する住宅

マイホームを売却して譲渡損失が発生した場合の繰越控除について

マイホームを売却して譲渡損失が発生した場合、「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」が適用されます。

損益通算とはマイホームなどの不動産を売却した際の損失を給料所得や事業所得などの他の所得の利益と相殺することを言います。

そして損失額が大きく相殺できなかった場合は翌年以降の所得と相殺され繰り越されます。

また、繰越控除は最長で譲渡した年と併せて4年間適用されます。

マイホームの買替え時に受けられる譲渡損失の繰越控除について

マイホームの買替え時に受けられる譲渡損失の繰越控除は、売却する不動産の所有期間が5年以上で新しい不動産に買替えた場合、ご紹介した「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」が利用できます。

例えば所得が600万円で譲渡損失が2000万円の場合は3年間所得税や住民税は課税されません。(所得が変わらない場合)

マイホームの買替え時に受けられる譲渡損失の繰越控除の詳細は以下の通りです。

【要件】

  • マイホームを譲渡する。以前住んでいたマイホームの場合、居住しなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡する
  • 譲渡する年の1月1日現在で所有期間が5年を超え、日本国内にあるもの
  • 譲渡の前年の1月1日から売却年の翌年12月31日までの3年の間に国内の新居の床面積が50平方メートル以上の住宅を取得すること
  • 新居を取得した翌年12月31日までに居住するか居住する見込みであること
  • 新居を取得した年の12月31日において新居に10年以上の住宅ローンがあること
  • マイホームの敷地面積が500平方メートル以内であること
  • 住宅ローン控除との併用可

マイホームを買替えなくても受けられる譲渡損失の繰越控除について

マイホームを買替えなくても受けられる譲渡損失の繰越控除があります。

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の特例のことで、譲渡の契約をした日の前日の時点で譲渡資産の住宅ローンが10年以上あることが条件です。

所有期間や所得の要件などは、買替え時に受けられる譲渡損失の繰り越し控除と同じで、損失を控除できなかった場合、その年から3年以内の合計所得が3000万円以下である各年分の他の所得金額から控除ができます。

また、譲渡損失の場合下記のどちらか少ない金額に対して損益通算できます。

  • 譲渡したマイホームの譲渡損失額
  • 譲渡したマイホームの住宅ローン残高から売却価額を控除した残高

この特例を受けたい場合は、税務署で確定申告する必要があります。

買換え特例とは

マイホームを売却して新しいマイホームに買換えた際、旧住宅の譲渡益(売却額から購入額と経費を差し引いた金額)が新住宅の購入額を上回ると、譲渡益に対して課税されます。

不動産の買換え特例(正式名称「居住用財産の買換え特例」)とは、古い住宅を売った時の譲渡益にかかった税金が、買換えで購入した家を将来売った時まで繰り越される制度です。

買換え特例を受けるためには、

  • 売却した家が築10年目を越えていること
  • 10年以上住んでいること
  • もし住んでいない家を売る場合は住まなくなって3年目までに売ること
  • 特例適用の期間は2019年12月31日まで(2018年8月時点)

といった期間を守らなければなりませんので、売却のタイミングはしっかり見極めましょう。

所有期間によって税率が変わる

所有期間が5年以下の不動産を売却すると「短期譲渡所得」となり、所得税にかかる税率は30%、住民税にかかる税率は9%です。

一方、所有期間が5年を超える不動産を売却する場合は「長期譲渡所得」とみなされ、譲渡益に対してかかる所得税は15%、住民税は5%とほぼ半分になります。

さらに10年を超える長期所有物件を売却すると、譲渡益のうち6,000万円以下に対しては所得税が10%、住民税は4%とさらに低くなります。(6,000万円を超過した部分は5年超えの住宅と同率)

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相続した不動産に売却のタイミングはあるのか

不動産 売却 タイミング

相続した不動産は、相続後の家の使用用途や売却時期によって税金が変わります。

相続した不動産が空き家になる場合

相続した不動産が空き家になってしまうので売却するというケースでは、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が受けられます。

2019年12月31日までに空き家を売却すると、譲渡益に対し3,000万円の特別控除が適用されます。

なお、空き家売却の特例を受けるためには、相続から3年目の12月31日までに売却しなければなりません。

相続した不動産を3年以内に売却した場合

相続した不動産を一定のタイミングで譲渡した場合、「相続税の取得費加算」の特例が適用され、納めた相続税の一部を不動産所得に要した経費に加えることができますので、譲渡益に対してかかる税金が少なくなります。

特例の適用は、相続された日の翌日から3年目までに売却契約を完了させていることが条件です。

自宅売却時にかかる税金について

自宅 売却 固定 資産 税

大きな買い物となる自宅を購入するとなった際に節税対策について調べる人は多くいます。

しかし、様々な情報を得てお得に購入した自宅であっても、事情があって手放さなければならない場合もあるかもしれません。

意外に知られていないのが自宅を売却する際にも、場合により税金がかかるということです。

ここでは、自宅売却に伴って関わってくる税金について説明します。

不動産売却時にかかる税金の種類について

税金の種類は、印紙税・所得税・住民税・復興特別所得税・消費税です。

不動産売却時にかかる税金:印紙税

不動産を売却する時には、買い主と「不動産売買契約書」を交わします。

不動産売買契約書は印紙税法に定められている「課税文書」なので、印紙を貼る必要があります。
不動産売買契約書は、売り主・買い主がそれぞれ一通ずつ保管します。

印紙税額は、不動産の売却価格によって金額が変わります。

印紙税は、平成26年4月1日から2020年3月31日までに作成される不動産売買契約書には軽減税率が適用されています。

  • 不動産売買契約書の印紙税額

不動産売買契約書
記載金額

印紙税額
軽減税率適用後

印紙税額
軽減税率適用前

500万円を超え1,000万円以下 5,000円 10,000円
1,000万円を超え5,000万円 10,000円 20,000円
5,000万円を超え1億円以下 30,000円 60,000円
1億円を超え5億円以下 60,000円 100,000円

不動産売却時にかかる税金:所得税と住民税、復興特別所得税

所得税・住民税・復興特別所得税は、不動産を売却した時に売却益があり、譲渡所得となった場合に支払う税金です。

譲渡所得の計算は、「譲渡所得=譲渡収入金額ー(取得費+譲渡費用)」となり、売却額=譲渡所得ではありません。

売却した価格から、取得した費用と売却した時の費用を差し引いた金額が譲渡所得となります。

不動産売却時にかかる税金:必要があれば支払う消費税

不動産を売却した時にかかる消費税のうち、必要があれば支払う消費税は3種類です。

一つ目は、不動産仲介手数料にかかる消費税です。不動産の売買をする時に仲介業務をした不動産会社に払う手数料が「不動産仲介手数料」で、消費税が課税されます。

二つ目は、不動産を売却した時に不動産の移転登記や抵当権抹消などの手続きを司法書士にお願いした場合に支払う税金です。

「登録免許税」と司法書士に支払う手数料の消費税が課税されます。

三つ目は、不動産の売却時に住宅ローンなどの借入金が残っている場合に課税されるものです。

必要な融資手続きを行う手数料の消費税となります。

不動産売却時にかかる税金:消費税課税業者が支払う消費税

消費税の課税業者が不動産を売買した場合は、消費税がかかります。

課税事業者とは法人及び個人事業主のことで、課税売上高が1,000万円を超える人(会社)です。

課税事業者ではなくても、前々年度の特定期間に1,000万円を超える課税売上があった場合、課税されます。

※特定期間とは

  • 法人の場合は、前事業年度の開始日以後6ヶ月の期間です。
  • 個人事業主の場合は、前年の1月1日から6月30日までの期間です。

不動産を売却した場合、課税対象にならない不動産があります。土地は、消費するものではないので、課税対象となりません。

自宅売却には税金がかかる

自宅売却の際には売却益に目が行きがちになります。法律的には自宅売却を譲渡と言います。

譲渡による所得には、所得税と住民税が課せられます。課せられる所得税と住民税は自宅の所有期間によって税率が異なります。

所有期間が5年以下の場合、税率は高くなります。10年以上になれば税率が軽減されます。

不動産売却による譲渡所得は、一般的な給与所得とは異なります。

分離課税なので、自宅を売却をした時は確定申告をする必要があります。

固定資産税

固定資産税とは自宅など不動産を所有している人に対して課される税金です。自宅を売却しても固定資産税は納付しなければなりません。

固定資産税は、毎年1月1日時点の納税者に課せられることになっています。

1月1日から12月31日の1年の間に家を売却したとしても、納税義務者は元の所有者のままなので固定資産税の納税通知書は1月1日時点の納税者となっている家の売主のところに送られます。

固定資産税は元の所有者が支払わなければなりませんが、年の途中に売却して所有者が変わったにも関わらず1年分の固定資産税を元の所有者が支払うのは納得がいかないのも当然です。

元の所有者も納得できるように固定資産税の精算が行われる場合が多いです。

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自宅売却時の固定資産税の精算方法について

自宅を売却したとしても売却主が固定資産税を支払わなければならないと述べましたが、手放したにも関わらず固定資産税を支払うのは不満でしょう。

固定資産税の精算が行われます。

固定資産税の精算とは、不動産の売却主と購入者の相談の下で固定資産税を公平に支払えるようにお互いの負担割合を決めて同意することです。

固定資産税はいつ課税されるの?

固定資産税の納税者の決定は1月1日時点の登記簿謄本に登録されている不動産所有者です。

つまり、1月1日に1年分が課税され、登記簿謄本に登録されている納税者に納税通知書が送付される場合が多いです。

納税通知書は市町村によって多少異なりますが5月から6月にかけて送付される場合がほとんどです。

家を売却する場合、1月1日に不動産の所有者が変更されるということは考えにくいので、大体の場合は家の売却主が固定資産税を負担することになります。

固定資産税の精算方法「日割り」について

手放した不動産であるにも関わらず、1月1日時点で所有者が売却主だったために固定資産税を支払わなければならないのは納得いかないという人がほとんどでしょう。

そこで売主と買主が公平に固定資産税を支払えるようにする固定資産税の精算が必要になりますが、精算方法は日割りでされる場合が一般的です。

不動産の売主と買主がそれぞれの所有期間を計算して固定資産税額を決めるという方法なので、固定資産税の負担は公平になります。

ただ、日割り計算の際の起算日には気を付ける必要があります。

起算日は1月1日にする場合と新年度が始まる4月1日にする場合の2種類があります。

選ぶ起算日の種類によって売主と買主の固定資産税の負担額が異なってきます。

売買時に不動産会社で取り決めるべきことですが、万が一起算日を取り決めずに精算してしまうとトラブルの原因になります。

地域の慣習によって起算日が決まっている場合もあるので確認しなければなりません。

固定資産税はどうやって支払うの?

固定資産税をはじめ各税金の納税通知書が届いたら納付期限までに金融機関やコンビニなどで支払わなければなりません。

口座引き落としにしている人もいるでしょう。

売却した後に納税通知書が届いたとしても、支払い義務があるのは売却主です。

納税を終えた後に不動産を売却することになったというケースもあるはずです。

売買契約書に固定資産税の精算の件をきちんと入れ、不動産の売却金額に固定資産税の買主が負担すべき金額を上乗せするなど調整します。

そうすることで売主が負担している買主が支払うべき分の固定資産税を回収できます。

固定資産税について知っておきたいポイントについて

税金に関して深い知識が無い人も多くいます。知らないと損をすることもあるので、家を売却する際には固定資産税の知っておくべきポイントをしっかり押さえておくべきです。

「固定資産税の精算」に法的な決まりはない

不動産売却の際に、固定資産税の精算といって売却者と購入者が公平に固定資産税を負担するための話し合いの場を設ける場合が多いです。

しかし、固定資産税の精算に法的な決まりはありません。

税法で定められていない限り必ず固定資産税の精算をしなければならないということではないので、税金を納付する市町村の役所から固定資産税の精算をするように言われることもありません。

市町村の固定資産税関連のHPなどでは一般的に不動産売買の際に固定資産税の精算が行われることを把握している上で負担はあくまで当事者間同士の合意という表記が見受けられます。

役所は請求した固定資産税さえ払ってもらえれば良いという姿勢です。

固定資産税を清算しないとどうなるの?

固定資産税の精算に法的な決まりがないということで、固定資産税の精算をしなかった場合は売主が不利になります。

固定資産税を清算しないと、1月1日時点の不動産所有者となっている売却主が1年分の固定資産税を全額支払うことになるからです。

しかし、不動産の購入者が売却主の身内である場合などは固定資産税を清算しないケースも有り得ます。

農地の固定資産税は安いとは限らない

農地の固定資産税は農地の区分によって評価方法が異なり、課税方法も異なります。

農村にあるような農地を一般農地と考えるとわかりやすいです。

農地として土地が使われる想定なので、土地の評価は農地方法、課税方法も農地課税となります。

一方、市街化された区域、もしくは市街化が予定されている区域にある農地を市街化区域農地と言います。

将来は宅地化される可能性が高いため、土地の評価は宅地並み評価、課税方法は農地に準じた課税となります。

農地に準じた課税ということで、一般農地にも適用される負担調整措置を適用しますが、宅地並み評価なので固定資産税の額は上がります。

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不動産売却時に所得税の計算に必要な取得費とは

不動産 売却 取得 費

取得費とは不動産を購入する際にかかった費用のこと

不動産を売却したとき、譲渡所得(利益)に対して所得税と住民税がかかります。

譲渡所得は、今回売却した価格(譲渡収入金額)から、不動産を購入したときにかかった費用である「取得費」と今回の経費(譲渡費用)を引いたものになります。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

税額は譲渡所得から計算されますので、取得費を正しく算出できないと、払う必要のない税金を支払わなくてはならなくなります。

譲渡収入金額と譲渡費用は、今回の売却で発生する金額です。

対して取得費は、今回売却した不動産を、「購入したとき」の経費です。

そのため、取得費の計算には、過去の契約書や領収書が必要になります。

購入から年月が経っている場合や相続した場合などは、書類が見つからないこともあり、算出が難しく感じるところです。

具体的には、取得費とはどのような費用になるのかまとめました。

取得費に含まれる費用の内訳

  • 土地と建物の購入代金:(実際に土地と建物を購入した代金)
  • 購入した不動産の建築費用:(建物の建築代金)
  • 購入時にかかった登録免許税、不動産取得税、印紙税など:(売買契約書類や役所に納めた税金や印紙代)
  • 仲介手数料:(購入時に不動産業者に支払った仲介手数料)
  • 設備費用:(購入してすぐに追加した設備の費用)
  • 改良費用:(購入してすぐに加えたリフォームのための費用)
  • 測量費用:(購入時期におこなった測量の費用)
  • 整地費用や不動産の取り壊し費用など:(購入後すぐに取り壊した場合の費用)
  • 借入金の利子:(購入のための借入金の利息)

実際の土地と建物の購入金額以外に、不動産業者に支払った仲介手数料や、契約書に貼った印紙代など、すべての費用が含まれることがわかります。

固定資産税と都市計画税の清算

固定資産税と都市計画税は、1月1日または4月1日(地域によって異なります)に土地・建物を所有している者に課税されます。

たとえば、1月1日に土地・建物を所有している人に課税される地域の場合で考えてみましょう。

売主は、その年の固定資産税と都市計画税の納税義務があります。

売買契約を締結し、引き渡し日が6月1日であれば、以降の固定資産税と都市計画税を日割りにします。

日割りにした金額を、買主が売り主に支払う「清算」がおこなわれます。

物件を購入したときに清算した固定資産税や都市計画税などを、取得費に含めることが可能です。

取得費の計算方法について

不動産 売却 取得 費

取得費の計算では建物の用途や構造によって減価償却率が異なる

取得費の「土地と建物の購入代金」のうち、建物の代金はそのまま取得費とすることができません。

建物は、新築と同じ価値がいつまでも続きません。

時間の経過とともに、使用により価値が下がっていくと考えて、「減価償却費」を計算します。

土地の価値は減りませんので、土地については減価償却をおこなわずに、代金や手数料の合計がそのまま取得費になります。

減価償却費は建物の用途で計算方法が異なる

建物の減価償却費は、事業用か非事業用かで計算方法が変わります。

事業用は店舗や事務所、賃貸マンションなどの用途、非事業用は住宅などになります。

法定耐用年数と償却率(定額法)

非事業用 事業用
(建物の構造) 耐用年数 償却率 耐用年数 償却率
木造 33年 0.031 22年 0.046
鉄筋コンクリート造 70年 0.015 47年 0.022

自宅として使用した場合は、事業用として使用した建物より償却率は低くなります。

つまり、年月とともに減ってしまう価値は、住宅の場合はおさえられています。

住宅などの非事業用建物の減価償却費の計算式

減価償却費(定額法)=建物購入代金×0.9×償却率×経過年数

減価償却費の計算は、定額法と定率法があり、一般的に定額法が利用されます。

建物の構造や経過年数は、登記簿の建物の”全部事項証明書”で確認ができます。

“全部事項証明書”は、法務局から発行される証明書で、登記された過去の履歴などが細かく記載されています。

土地と建物を一括購入した場合の取得費の計算方法

マンションや建売住宅を購入した場合、土地と建物の金額を分けずに購入することが多くあります。

建物分の金額がわからない場合は、減価償却費を出せません。

減価償却費を算出するために、土地と建物の購入金額を割り出す、下記のような方法があります。

  1. 建物にかかった消費税から建物の価格を算出する
  2. 土地と建物の固定資産税評価額の比率から算出する
  3. 標準的建築価格から建物の価格を算出する
  4. 不動産鑑定士による鑑定価格から土地と建物の時価を求めてその比率から算出する

取得費の計算式

取得費は「実額法」と「概算法」の計算をして高額な方を使用します。

「実額法」は、取得にかかった費用から、建物の減価償却費を引いた金額。

「概算法」は、譲渡収入金額に5%をかけた金額です。

「概算法」では、譲渡収入金額の5%になってしまいますので、多くの場合「実額法」より取得費が低くなってしまいます。

取得費が低くなってしまうと、譲渡所得金額が高くなり、税額も高くなります。

税額をおさえるために、できるだけ取得費が高くなる計算式を使います。

取得費が不明の場合の計算方法

購入時に実際にかかった費用が不明な場合も、概算法を使用して取得費を算出します。

概算取得費=譲渡収入金額×5%

土地と建物の購入金額が、概算取得費よりも高い場合は、実額法で取得費を算出した方が、税額は少なくすみます。

契約書が見つからなくても、代わりに証明できる書類があれば、認められる場合もあります。

購入当時のやり取りのメモやチラシ、支払いに使用した通帳など、購入時の資料をできる限り探し出して、税務署に相談してみるとよいでしょう。

概算法の計算式は、強制的なものではなく、合理的な算出方法があれば、代用してもかまいません。

国土交通省の発表する「建物の標準的な価格表」から、構造と築年数から単価を調べて床面積をかけることで、建物価格を算出して、減価償却費を引いて取得費を求める方法もあります。

土地であれば、「市街地価格指数」を使って算定する方法があります。

市街地価格指数は、全国主要都市198都市で選定された宅地の調査をもとに、指数化したものです。

この指数を使って当時の価格を計算する方法です。

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不動産売却時の確定申告について

不動産 売却 税金

不動産を売却した場合、譲渡益でも譲渡損失でも、確定申告が必要です。

不動産売却時には損益に関わらず確定申告を

不動産を売却したら、譲渡益があり譲渡所得があった場合でも譲渡損が出た場合でも確定申告を行います。

不動産売却時に譲渡所得が発生した場合は、必ず確定申告が必要で、譲渡損失があった場合も特別控除を受けるためには、確定申告が必要なのです。

確定申告に必要な書類は、税務署で取得する書類と自分で準備する書類があります。
税務署で取得する書類
自分で準備する書類

  • 確定申告書B
  • 申告書第3表(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書 土地・建物油
    (確定申告書付表兼計算明細書)
    国税庁HPからダウンロード可能です
  • 不動産売買契約書及び領収書のコピー
  • 不動産仲介手数料の領収書のコピー
  • 登記費用の領収書のコピー
  • 測量した場合の費用の領収書のコピー
  • その他、売却時の費用の領収書のコピー
  • 土地・建物の全部事項証明書

その他に、3,000万円の特別控除を受ける場合は、住民票除票が必要です。

また、特別居住用財産の買い替え特例の適用を受ける場合は、買替え資産の明細書・先行特例資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書、代替資産の取得期限延長承認申請書が必要です。

譲渡損失及び繰越控除の適用を受ける場合は、居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)と居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書が必要です。

確定申告は、不動産を譲渡した年の1月1日~12月31日までの他の所得と一緒に譲渡所得の確定申告を行います。

確定申告の時期は、譲渡した年の翌年、2月15日~3月15日(年により前後します)です。

不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?

ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。

正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。

そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!

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一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。

後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!

この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社worth style home 濵田昭平

株式会社worth style home

濵田昭平

2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。

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