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2024年08月20日更新
自宅を売却した際にかかる住民税について詳しく解説!
自宅を売却した時に発生する譲渡所得には、住民税と所得税がかかります。自宅を売却した時に税金がかかるかこと知らないでいると、税金の納付書が届いた時に焦ってしまう可能性があります。所得税と住民税の計算方法や支払方法について知っておきましょう。
自宅を売却した際にかかる所得税と住民税について

自宅を売却した際、所得税と住民税が課せられるケースがあります。
自宅を売却した時の課税対象となる所得についてや、所得の申告方法・支払方法について知っておきましょう。
所得税と住民税は自宅売却時の譲渡所得にかかる
自宅売却時に所得税と住民税がかかるのは「譲渡所得」に対してです。
自宅を売却した時に売却益があると、それが譲渡所得になります。
譲渡所得とは、売却価格から物件の購入価格と、売却活動にかかった経費・税金を差し引いた金額のことです。
計算された譲渡所得に所定の税率をかけて、課せられる税額が算出されます。
自宅を売却した金額が購入した時と同じ金額だった場合や、購入した金額よりも低い金額で売却した場合は、譲渡所得が発生しないケースがあり、この場合は非課税になります。
また売却で得た利益が3000万円以下になった場合も、譲渡所得に対しては所得税も住民税も課せられません。
譲渡所得が発生するかどうかは、売却金額・購入金額・経費と控除額をはっきりさせて、計算してみましょう。
税金は売却利益が「ある」場合のみ
一般的に、税金は「収益部分」にかかるものです。不動産の世界でも同じです。不動産を売却して税金がかかるのは、「売ったときに得た利益」の部分です。
つまり、売却の利益が出たとき、その利益に対して税金がかかってくるということです。
不動産が売れた金額より、買った時の金額(取得額)が少ない場合。いわゆる「損をした」ときには税金はかかりません。
発生する税金の種類
不動産を売却して得た利益には、所得税と住民税の2つの税金が課税されます。課税方式は給与所得とは異なり、分離課税となります。
課税方式 | 特徴 | 所得の例 |
---|---|---|
総合課税 | 1年分の所得を合算して税額を決定する。 | 給与所得、事業所得など |
分離課税 | 継続性がなく金額が大きな所得が対象。他の所得とは分けて税額を決定する。 | 譲渡所得(土地建物など)、退職所得など |
もし、分離課税の制度がなければ、不動産の売却益のせいで他の所得にも高い税率が適用されることになります。
一時的で金額が大きい所得に対して、分離課税が適用されるのはこのためです。
確定申告の際には所得税のみ申告が必要
譲渡所得にかかる所得税は、確定申告の時に申告して納めます。
所得税の申告は、前年1月1日から12月31日までの間に自宅を売却した場合、2月15日から3月15日(年度により若干違います)の確定申告期間に申告することが必要です。
譲渡所得の申告は「分離課税方式」となっており、他の給与所得や雑所得などとは、分離して課税されます。
他の所得の申告と一緒に分離課税で申告を行いましょう。
自宅の売却で利益が出ず譲渡所得が発生しなかった場合も、確定申告を行うか、税務調査が行われた場合のために売買の書類を用意しておきましょう。
自宅を売却すると登記移動があったことが税務署でわかります。
自宅を売却したことがわかるので、税務署から売却に関するお尋ねがくる場合があるのです。その際、譲渡所得がマイナスとなることがわかる書類の提出が必要になります。
譲渡所得がマイナスでも、売却による「居住用財産にかかわる譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受ける場合は、確定申告を行ないます。
特例の申告をして、税金の還付を受けるためです。
譲渡所得は、必ず自分で申告しなければなりません。自宅を売却した翌年の確定申告で忘れずに申告を行いましょう。
自宅を売却後に住民税を支払うタイミング
譲渡所得の所得税は、確定申告で申告を行い、税金を支払います。では、住民税はどのようになっているのでしょうか?
住民税は、区市町村が課税する税金です。確定申告で譲渡所得を申告すると、管轄の市区町村にその情報が送られます。
市区町村は、その情報を基に納税額を計算し、納付書を送付します。
住民税はとくに申告する必要はありません。納付書が届いたら期限までに支払いを行いましょう。
自宅を売却した際の譲渡所得にかかる所得税・住民税の計算方法について

譲渡所得にかかる所得税・住民税の計算は、譲渡所得の計算、課税所得の計算などで算出できます。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得の計算方法には、実額法と概算法があります。
自宅の購入金額や取得費がわからない場合は、概算法を使い譲渡収入金額の5%として計算します。
- 概算法 譲渡所得=譲渡収入金額―({譲渡収入金額×5%}―譲渡費用)
実額法は、購入価格や取得費用がわかり、根拠となる書類(不動産売買契約書や領収書)がある場合に使う計算方法です。
- 実額法 譲渡所得=譲渡収入金額―(購入価格+取得費用+譲渡費用)
譲渡収入金額 | 自宅を売却した価格 |
---|---|
購入価格 | 自宅を購入した価格 |
取得費用 | 自宅を購入した時にかかった費用 (不動産仲介手数料・登記費用・登録免許税・印紙税など) ※ただし、建物は減価償却費相当額を控除します。 |
譲渡費用 | 自宅を売却した時にかかった費用 (不動産仲介手数料・登記費用・登録免許税・印紙税・測量費など) |
譲渡所得の計算例
- 売却価格…3,000万円
- 購入価格…2,500万円
- 取得費用…120万円
- 譲渡費用…150万円
- 建物…減価償却費相当額200万円
の場合
3,000万円―(2,500万円+120万円+150万円―200万円)=430万円
上記の通り430万円が譲渡所得となります。
課税譲渡所得の計算方法
自宅を売却した譲渡所得の所得税には、特例という軽減税があります。
3,000万円の控除特例と10年超所有軽減税率の特例、特定居住用財産の買換え特例の3つです。
これらの特例を受けることができれば、課税譲渡所得金額が低くなり、納める税金少なくなります。
しかし、適用を受けるためには条件を満たす必要があります。
事前に税金の特例と軽減税率を受けられるか確認しましょう。
3,000万円の控除特例
自分が住んでいる自宅を売却した場合、要件を満たしていれば、譲渡所得から3,000万円の控除が受けられる特例です。
特例を受けるには、主に居住していた住居である、居住しなくなってから3年が過ぎた年末までに売却した住宅であるなどの細かい要件があります。
売却する時には要件を事前に確認しておきましょう。
10年超所有軽減税率の特例
所有期間が10年を超える自宅を売却した場合、譲渡所得税にかかる税率が軽減される特例があります。
自宅を売却した年の1月1日現在で10年以上所有していれることなどの要件があります。
要件を満たせば、3,000万円の控除を受けた譲渡所得にかかる税率が軽減されます。
- 税率の軽減率
課税譲渡所得 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
6,000万円以下の金額 | 10.21% | 4% |
6,000万円を超える金額 | 15.315% | 5% |
特定居住用財産の買換え特例
「特定居住用財産の買換え特例」とは住んでいる自宅を買い替えした場合、一定の要件を満たしていれば、売却金額から購入価格を差し引いて残った金額に課税するという特例です。
売却した年の1月1日現在で所有期間が10年を超えていること、譲渡金額が1.5億円以下などの要件があります。
また、3,000万円の特別控除の特例又は軽減税率の特例とは併用できないので注意が必要です。
減価償却費の計算方法
減価償却費の計算方法は、定額法と定率法がありますが、定率法は届出が必要で、一般的には定額法で計算を行います。
- 減価償却費の計算方法(定額法)
減価償却費=自宅購入金額×0.9×償却率☓経過年数
- 法定耐用年数と償却率(定額法:マイホーム)
建物の構造 | 耐用年数 | 償却率 |
---|---|---|
木造 | 33年 | 0.031 |
軽量鉄骨 | 40年 | 0.025 |
鉄筋コンクリート造 | 70年 | 0.015 |
(例)減価償却費計算
15年住んだ木造住宅、購入金額が2,500万円(建物金額)の場合
- 減価償却費 2,500万円×0.9×0.031×15年=1,046.25万円
短期譲渡所得の場合の計算方法
自宅を売却した時の利益である譲渡所得にかかる税率には、短期譲渡所得と長期譲渡所得の2種類があります。
売却した年の1月1日時点の所有年数により短期譲渡所得か長期譲渡所得かを判断します。
短期譲渡所得は所有年数が5年以下の場合で、所得税の税率は30.63%、住民税の税率は9%となっています。
【短期譲渡所得】
所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|
30.63% | 9% | 39.63 |
所得税には現在復興所得税が含まれています(2037年まで)。
長期譲渡所得の場合の計算方法
長期譲渡所得は、所有年数が5年を超える場合で、所得税の税率は15.315%、住民税の税率は5%となっています。
【長期譲渡所得】
所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|
15.315% | 5% | 20.315% |
所得税には現在復興所得税が含まれています(2037年まで)。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
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一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール

株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
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