2024年11月07日更新
マンション売却のポイントは?売れない原因や対処法もくわしく解説
マンションを売却する際、具体的に何から始めたら良いでしょうか。マンション売却に失敗しないためには、事前に予備知識を深めておくことが重要です。当記事ではマンション売却の流れから必要書類、売却のポイントなどをわかりやすく解説します。控除や特例についても触れているので、マンション売却を検討している人はぜひ参考にしましょう。
目次
マンション売却の流れ
マンションの売却を検討するにあたり、マンション売却の流れを理解することは欠かせません。
ここでは、一般的なマンションの売却方法である不動産会社の仲介による流れを見ていきましょう。
マンション売却を決めたら、事前準備をおこないましょう。
具体的には以下の内容をまとめ、売却したいマンションを査定に出す準備をしましょう。
- 希望価格を決める
- 必要書類の用意
- 売却スケジュールの確認
なお、マンションは売却するまでに平均して3ヶ月〜半年程度かかります。
売却したい時期から逆算してスケジュールを立てましょう。
次に、マンション査定の依頼を不動産会社にします。
査定とは、マンションがいくらで売れるか算出する作業です。
不動産会社がおこなう査定の方法は、以下のとおりです。
机上査定 | 登記簿謄本や住宅地図などの資料を参考に査定する方法 |
訪問査定 | 実際に物件の状況を見て価格を出す査定方法 |
価格の精度は、実際の建物状況を確認できる訪問査定が高い傾向にあります
希望価格と査定額のすり合わせをおこない最終的な売り出し価格を決定します。
査定が完了したら、不動産会社と媒介契約を結びマンションの売り出しを開始します。
媒介契約には種類があり、どの契約を結ぶかによって報告義務の有無や契約期間が異なります。
契約の種類 | 特徴 |
---|---|
一般媒介契約 | 複数社と契約ができるが、依頼主への報告義務がない |
専任媒介契約 | 契約は1社のみとし、2週間に1回の報告義務がある |
専属専任媒介契約 | 契約は1社のみとし、1週間に1回の報告義務がある |
媒介契約の種類は、不動産会社の販売戦略を加味しながら決めると良いでしょう。
売却活動がはじまると不動産会社のホームページや、物件情報サイトにマンションが掲載されます。
マンションに問い合わせがあると、購入希望者が内覧に訪れます。
退去済みの場合、内覧時には不動産会社が立ち会いをおこないますが、入居中の場合は売主も立ち会いをおこないましょう。
内覧の際には第一印象を良くするために清掃を心がけましょう。部屋の状態によっては、クリーニングが必要な場合も
購入を検討している買手が現れると、不動産会社を介して購入申込書が提示されます。
購入申込書には買主の希望価格や希望の条件が記載されているので、条件の交渉をおこないましょう。
双方で契約条件に合意したら、書面にて売買契約を締結します。
売買契約締結のタイミングで買い手から10%前後の手付金を受け取ります。このタイミングで売主は不動産会社に仲介手数料を支払います
売買契約締結後、平均して1〜2ヶ月程度でマンションの引き渡しをおこないます。
この間、売主は下記の引き渡しに備えた準備をします。
- 買主へ渡す分譲時の資料
- 登記に必要な書類
- 抵当権抹消手続き
- 住所変更登記
- 氏名変更登記
住宅ローンの残債がある場合、抵当権の抹消手続きが必要となります。
登記手続きには司法書士とのやり取りが必要です。
マンション売却で利益が出た場合、売却した翌年に確定申告が必要となります。
マンション売却の必要書類
マンション売却では、媒介契約時・売買契約時・引き渡し時でそれぞれで必要な書類が異なります。
必要な書類 | 入手方法 |
---|---|
登記済証 登記識別情報通知書 | 売主が保有 |
納付通知書 | 売主が保有 |
住宅ローンの返済表 | 売主が保有 |
分譲時の資料 | 売主が保有 |
必要な書類 | 入手方法 |
---|---|
身分証明書 | 売主が保有 |
実印 | 売主が保有 |
印鑑証明書 | 役所などで発行 |
付帯設備表 | 不動産会社 |
売買契約書 | 不動産会社 |
物件状況確認書 | 不動産会社 |
必要な書類 | 入手方法 |
---|---|
登記済み証 登記識別情報 | 売主が保有 |
分譲時の資料 | 売主が保有 |
実印 | 売主が保有 |
印鑑証明書 | 役所などで発行 |
固定資産税評価証明書 | 役所などで発行 |
住民票 | 役所などで発行 |
身分証明書 | 売主が保有 |
管理費 修繕積立金の額の確認書 | 売主が保有 |
抵当権の抹消に必要な書類 | 銀行 |
その他マンション設備に関する書類や説明書 | 売主が保有 |
マンション売却に必要な書類は、売主がもともと所有するものから、役所などでの取り寄せが必要なものまでさまざまです。
売却をスムーズに進めるためにも、あらかじめ必要書類を把握しておきましょう。
マンションを売却するためにかかる費用
マンションを売却する際、不動産会社に対して支払う費用や契約にかかる費用、不動産売却益にかかる税金などがかかります。
どの程度の費用がかかるのか把握し、あらかじめ資金計画を立てておきましょう。
- 費用
-
【仲介手数料の上限】
成約価格の3%+6万円+消費税
- 概要
-
売買契約締結時に不動産会社に支払う報酬
- 費用
-
登録免許税 1,000円 司法書士報酬 15,000円前後 - 概要
-
登録免除税・司法書士への報酬
- 費用
-
記載された契約金額 印紙税 1万円未満 非課税 10万円以下 200円 10万円超50万円以下 400円 50万円超100万円以下 1,000円 100万円超500万円以下 2,000円 500万円超1,000万円以下 10,000円 1,000万円超5,000万円以下 20,000円 5,000万円超1億円以下 60,000円 1億円超5億円以下 10万円 5億円超10億円以下 20万円 10億円超50億円以下 40万円 50億円超 60万円 契約金額の記載のないもの 200円 - 概要
-
契約時の書類にかかる印紙(税金)
- 費用
-
【税額】
課税譲渡所得×税率(所得税・住民税)
- 概要
-
不動産売却益に対してかかる税金
参考:国税庁|No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで
所得税・住民税がかかるのは売却益が発生した場合のみで、譲渡所得がマイナスの場合は所得税や住民税を支払う必要はありません。
なお、マンション売却の特例と控除を利用すれば譲渡所得にかかる税金をおさえられることもあります。
マンションをスムーズに売却するためのポイント
マンションをスムーズに売却するためにはいくつかあさえたいポイントがあります。
マンション売却前・売却時・売却後の3つのシーンに分けて解説します。
マンション売却前
マンション売却前に押さえるべきポイントは、売却価格や時期など販売に関する点です。
なお、ここで解説するマンション売却前とは不動産会社との媒介契約の締結前とします。
【ポイント1】市場が活発な時期に売却する
マンション売却前におさえておきたい重要なポイントは売却する時期です。
一般的に不動産の販売数が多くなるのは、年度が変わる前の1~3月といわれています。
この時期は新生活を始めるにあたり、マンションの購入希望者が増加し市場が活発になります。
1~3月のタイミングに売却をするためには、半年ほど前の8〜9月から売却の準備を始めましょう。
【ポイント2】売却期限を設ける
マンション売却には平均して3ヶ月前後かかるといわれています。
マンションが半年以上経っても売れない事態を避けるためにも、売却には必ず期限を設けておきましょう。
いつまでに絶対売れないといけないのか、どのタイミングで値下げを検討するかなどの基準を明確にすることで万が一の際に備えられます。
長い期間仲介で売れない場合には、不動産会社の買取など売り方の変更を視野に入れる考慮も。
【ポイント3】適正価格を理解する
売れ残りを防止するためにも、マンションの適正価格について深く理解する必要があります。
適正価格を知る具体的な方法としては、物件情報サイトでの類似物件の情報収集が効果的です。
これによって、同じエリアにある同等物件の相場を把握できるでしょう。
なお、過去の取引事例を知りたい場合は、国土交通省の 不動産取引価格情報検索 で調べられます。
過去の取引事例を検索する場合、同じマンションの物件価格が参考となります。平米あたりの単価を算出して適正価格を理解しましょう
【ポイント4】実績のある不動産会社を探す
マンションを売却する際、不動産会社選びは非常に重要です。
マンション売買の実績があり、所有するマンションがある地域に精通している不動産会社を選びましょう。
【ポイント5】複数社に査定を依頼する
不動産会社に査定をお願いする際、必ず複数社に依頼をしましょう。
なぜなら、不動産会社によってマンションの査定基準が異なり、査定額に大きな差が出るためです。
複数社に査定を依頼する際には、査定額の高さのみに着目するのではなく、営業担当者の真摯さやレスポンスの速さなども注意を向けましょう。
マンション売却時
続いて、マンション売却時のポイントを確認します。
なお、ここで解説するマンション売却時とは、売却活動開始から売買契約の締結までをさします。
【ポイント1】瑕疵は隠さず申告する
マンション売却時に最もしてはいけないことは、キズや欠点を意味する瑕疵(かし)の無申告です。
マンションの売主には、契約不適合責任(瑕疵担保責任)があります。
売買契約書に記載のない不具合が起こった際、マンションの引き渡しから一定期間内であれば売主に損害賠償請求や契約解除ができる。以前は瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)と呼ばれていた
契約不適合責任では、契約書にない瑕疵が発覚した場合、買主は売主に賠償請求ができる仕組みです。
契約不適合責任に問われないためにも、マンションの瑕疵は不動産会社に申告しておきましょう。
なお、事前にインスペクション(建物状況調査)をおこなうと設備の状態を確認できます。
【ポイント2】リフォームは慎重におこなう
マンション売却を検討している人の中には、リフォームをした方がマンションの売却額が上がると思う人もいるでしょう。
たしかにリフォームが実施されたマンションは見栄えが良く、売却額が上がる可能性があります。
しかし、中にはリフォームによる売却額の上がり幅よりもリフォーム費用が高くつくケースも。
このため、マンションのリフォームは個人で決定するのではなく不動産会社と相談のうえ実施しましょう。
【ポイント3】内覧に向けて気を配る
マンション売却時に入居中の場合、内覧に気を配ることも忘れてはなりません。
第一印象を良くするためには掃除と整理整頓、そして換気や部屋の明るさに注意しましょう。
特に、玄関や水回りは内覧者が厳しい目でチェックする箇所です。
ある程度の生活感は仕方がありませんが、清潔感を損なわないようにしましょう。
部屋の生活臭やペット臭、タバコの臭いなども内覧者にマイナスの印象を与える要因となります。内覧時には換気をする、カーテンを開けるなどの工夫も怠らないようにしましょう
【ポイント4】不動産担当者とマメな連絡をとる
不動産担当者とは、マメな連絡をとり良い関係を築けるようにしましょう。
一般的に不動産担当者は複数の物件を担当しています。
このため、連絡をおろそかにしていると他の物件との優先順位に差がついてしまう可能性があります。
本来、連絡がおろそかであっても優先順位に差をつけるべきではありません。
しかし、売主が協力的な姿勢を見せることで、不動産担当者が熱意を持って対応してくれるケースがあります。
【ポイント5】買主の与信を確認しておく
マンション売却では、売買契約を結んだものの買主の与信が原因で住宅ローン審査に通らない場合があります。この場合、売買契約が解除となるケースが稀にあるため注意しましょう。
マンションは大きな買い物であるため、多くの場合で住宅ローンを利用します。
ローン特約は、ローンがおりなかった場合に契約を白紙にできる買主を保護するための特約。住宅ローンの審査に通らなかった結果、ローン特約において契約は解除となります
契約解除となると売買契約も白紙となり、売主は手付金の返金をおこなわなければなりません。
このため、買主の与信については売買契約前に必ず確認しておきましょう。
マンション売却後
最後にマンション売却後のポイントについて解説します。
なお、ここで解説するマンション売却後とは売買契約締結後から翌年の確定申告までをさします。
【ポイント1】引き渡しの期日を守る
売買契約後、まだマンションに居住中の場合には速やかに引越しの準備をおこないましょう。
引き渡しの期日に荷物や残置物があると、買主とのトラブルに発展する可能性があります。
年度が変わる前の1〜3月は引越し業界の繁忙期です。繁忙期には業者が見つからないこともあるため、できるだけ早めの見積もりを
【ポイント2】住宅ローンの抹消手続きを済ませる
マンションの売却が決定したら、住宅ローンの抹消手続きを済ませましょう。
住宅ローンの抹消手続きは、抵当権抹消登記(ていとうけんまっしょうとうき)と呼ばれ、住宅ローンの完済が要件です。
マンションをはじめとした不動産売却では、残金決済日や不動産の引き渡し日に「所有権移転の登記」と「抵当権抹消登記」をおこないます。
【ポイント3】管理組合に売却の報告をする
マンションを売却した際、マンション管理組合に売却の報告をする必要があります。
報告のタイミングは、買主が決定して決済が完了したタイミングです。
マンションの維持管理をおこなう団体。共有部分の補修や清掃、修繕積立金の管理などの業務をメインとしている
管理組合がわからない場合は、マンション購入時の契約書や、マンションエントランスに掲示された書類などから確認できます。
【ポイント4】売却翌年に確定申告をおこなう
マンション売却で譲渡益が出た場合、売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をおこなう必要があります。
申告しない場合、所得税の申告漏れとして扱われるため、くれぐれも注意しましょう。
マンションが売れない時の原因と対処法
東日本不動産流通機構が発表している 首都圏不動産流通市場の動向(2022年)によると、首都圏の中古マンションは売却までに平均して71.4日であることがわかります。
つまり、2ヶ月以上売れないマンションはなんらかの原因があり対策を練る必要があると言えるでしょう。
この項では、マンションが売れない原因とその対処法について解説します。
原因 | 対処法 |
---|---|
問い合わせが来ない | 価格が適切ではない可能性があるため、価格を見直す必要があります |
需要がないエリア | 地元密着型の不動産会社に依頼する |
築年数が古い | インスペクションやリフォームを検討する |
内覧がうまくいかない | ハウスクリーニングをおこなう |
管理費や修繕積立金が高い | 管理費や修繕積立金が高くなる理由(キッズスペースの有無など)をアピールする |
競合する物件が多い | 売却時期や価格の見直しをおこなう |
間取りと市場のニーズに相違がある | リフォームやリノベーションを視野に入れる |
仲介業者が適切でない | 不動産一括査定サイトなどを利用する |
上記の対処法を試してもマンションが売れない場合、不動産会社による買取を検討するのも1つの手です。
主要都市におけるマンション売却の費用相場
2024年の主要都市におけるマンション売却の費用相場は、2013年から右肩上がりに上昇し続けています。
東京都のマンション売却相場
2023年6月 | 2024年6月 | |
---|---|---|
売却相場 | 5,713万円 | 6,156万円 |
専有面積 | 59.71平方メートル | 59.54平方メートル |
平米単価 | 95.69万円 | 100.4万円 |
築年数 | 22.9年 | 23.27年 |
東京都のマンション売却相場は毎年上昇傾向にあります。
2023年と2024年を比較するとマンションの売却相場は7.8%上昇しています。
神奈川県のマンション売却相場
2023年6月 | 2024年6月 | |
---|---|---|
売却相場 | 3,705万円 | 4,016万円 |
専有面積 | 67.38平方メートル | 67.65平方メートル |
平米単価 | 54.99万円 | 59.35万円 |
築年数 | 24.3年 | 24.54年 |
神奈川県のマンション売却相場は2023年から2024年にかけて8.4%上昇しています。
全国のマンション売却相場は2,025万円となっており、神奈川県の水準は全国平均の約2倍です。
埼玉県のマンション売却相場
2023年6月 | 2024年6月 | |
---|---|---|
売却相場 | 2,890万円 | 2,852万円 |
専有面積 | 67.96平方メートル | 67.65平方メートル |
平米単価 | 42.52万円 | 42.15万円 |
築年数 | 24.57年 | 26.58年 |
埼玉県のマンション売却相場は、2023年から2024年にかけて1.3%下落しています。
埼玉県は首都圏の一角として根強い人気がありますが、需要の変動や他エリアへの流出により、マンション売却の競争が激化している可能性が考えられます。
北海道のマンション売却相場
2023年6月 | 2024年6月 | |
---|---|---|
売却相場 | 2,162万円 | 2,266万円 |
専有面積 | 74.55平方メートル | 74.51平方メートル |
平米単価 | 29万円 | 30.42万円 |
築年数 | 26.74年 | 28.07年 |
北海道のマンション売却相場は、2023年から2024年にかけて4.80%上昇しています。
上昇の理由としては札幌駅前の再開発などが考えられます。
大阪府のマンション売却相場
2023年6月 | 2024年6月 | |
---|---|---|
売却相場 | 2,877万円 | 3,236万円 |
専有面積 | 67.04平方メートル | 66.26平方メートル |
平米単価 | 42.91万円 | 48.83万円 |
築年数 | 26.57年 | 26.31年 |
大阪府のマンション相場は、2023年から2024年にかけて12.50%の大幅上昇しています。
これは2025年の大阪万博の影響が考えられ、一時的な急上昇と言えるでしょう。
愛知県のマンション売却相場
2023年6月 | 2024年6月 | |
---|---|---|
売却相場 | 2,460万円 | 2,378万円 |
専有面積 | 74.74平方メートル | 75.36平方メートル |
平米単価 | 32.91万円 | 31.55万円 |
築年数 | 23.36年 | 26.67年 |
愛知県のマンション売却相場は2023年から2024年にかけて3.40%減少しています。
全国平均のマンション相場は2,025万円となっており、愛知県の水準はほぼ平均です。
福岡県のマンション売却相場
2023年6月 | 2024年6月 | |
---|---|---|
売却相場 | 2,112万円 | 2,534万円 |
専有面積 | 66.05平方メートル | 66.30平方メートル |
平米単価 | 31.98万円 | 38.12万円 |
築年数 | 25.72年 | 24.88年 |
福岡県のマンション売却相場は、2023年から2024年にかけて20.00%に大幅上昇しています。
これは天神ビッグバンによる再開発事業が大きく影響している可能性が考えられます。
マンション売却を依頼する業者選びのポイント
マンションは時期や適正価格などのポイントをおさえて売却することが非常に重要です。
しかし、それ以上に依頼する不動産会社選びが成否を大きく左右します。
この項では、マンション売却を依頼する業者選びのポイントを解説します。
【ポイント1】査定額に根拠があるか
マンション売却を依頼する仲介業者を選ぶ際、根拠のない査定額を提示する業者に注意する必要があります。
仲介業者の中には、他社よりも高い売却予想額を提示して仲介契約を結ぼうとするケースがあります。
売却予想額はあくまで予想額であり、その価格で売れることを保証するものではありません
売主としては高い売却予想額を提示してくれた業者との契約を結びたいと考えるかもしれません。
しかし、高い売却予想額であってもその価格に至った根拠をしっかりと説明できる仲介業者と契約を結んでください。
【ポイント2】経験実績は豊富か
マンション売却は、売却実績が豊富な仲介業者への依頼が成功の近道です。
一口に仲介業者といっても、賃貸の仲介とメインとした業者と売買の仲介をメインとした業者があります。
駅前に店舗をかまえる一般的な仲介業者は賃貸の仲介をメインとしているケースが多いため、売買の仲介を専門とした業者を探しましょう。
売買の仲介実績は不動産会社のホームページに記載しているケースが大半です。不動産会社を選ぶ際には事前にインターネット等で検索しましょう。
【ポイント3】売却したいマンションのあるエリアに精通しているか
仲介業者を選ぶ際には、売却したいマンションの近隣にある地元の業者を選びましょう。
地元の業者は地域のニーズや相場を把握している傾向が強く、効果的な売却方法を提案してくれる可能性があります。
地元でしかわからないことも多いため、大手であっても遠方の仲介業者への依頼は適切とは言えません。
営業担当者にとっても近隣のマンションは扱いやすく、熱心に営業してくれることも。
マンション売却時にかかる税金
マンション売却時に利益(譲渡所得)が発生した場合、以下の税金がかかります。
- 所得税(譲渡所得税)
- 復興特別税
それぞれの税金の計算方法をくわしく解説します。
所得税(譲渡所得税)
譲渡所得税とは、土地や建物などの資産を売却して出た利益に対してかかる住民税と所得税をさします。
譲渡所得税の計算方法は以下の通りです。
譲渡所得=譲渡収入金額-(物件の取得費+売却にかかる経費)
譲渡収入金額とはマンション売却で得た金額となります。
物件の取得費は、売却したマンションの購入価格や諸経費、そして売却時にかかった経費は仲介手数料や印紙税です。
譲渡所得税の納税のタイミングは、マンション売却の翌年2月16日〜3月15日までにおこないます。
復興特別税
復興特別税とは、東日本大震災の復興を使途とした税金です。
別名「復興税」とも呼ばれ、マンションを売却した年に所得税として課税されます。
復興特別税の税率は所得税額に対して2.1%
なお、復興特別税における納税のタイミングは、譲渡所得税と同様のマンション売却翌年の2月16日〜3月15日までです。
マンション売却における特例と控除
マンションをはじめとした居住用財産の売却により利益出た場合、税金が控除される特例が利用できるケースがあります。
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
- 10年超所有軽減税率の特例
- 特定居住用財産の買換え特例
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
居住用財産を譲渡した場合、所有期間に関わらず最高で3,000万円の控除が受けられます。
3,000万円控除とも呼ばれ、マイホームもしくは住まなくなってから3年以内に属する12月31日までの売却が控除の対象です。
この他にも、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例には以下の要件を満たす必要があります。
- マイホームもしくはマイホームと共に土地や借地権を売却すること
- 売却した年の前年もしくは前々年にこの特例またはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
- 売却した年の前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
- 売却した家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
- 災害によって滅失した住宅の場合、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 売手と買手が特別な関係でないこと
10年超所有軽減税率の特例
10年超所有軽減税率の特例は、売却したマイホームの居住年数が10年を超える場合、譲渡所得税の税率が引き下げられる特例です。
譲渡所得 6,000万円以下 | 譲渡所得 6,000万円以上 (6,000万円以下の部分) | 譲渡所得 6,000万円以上 (6,000万円を超える部分) | |
---|---|---|---|
所得税 | 10.21% | 10.21% | 15.315% |
住民税 | 4% | 4% | 5% |
合計 | 14.21% | 14.21% | 20.315% |
なお、10年超所有軽減税率の特例は3,000万円の特例と併用できます。
10年超所有軽減税率の特例を利用する場合、マンションを売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をおこないましょう。
特定居住用財産の買換え特例
特定居住用財産の買換え特例は、2023年の12月31日までに所有期間10年以上の居住用財産を売却し代わりのマイホームを購入した場合、譲渡益にかかる課税を将来に繰り越せる特例です。
- マイホームもしくはマイホームとともにその敷地や借地権を売却すること
- 売却した年の前年および前々年にマイホームを譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例もしくはマイホームを売ったときの軽減税率の特例もしくはマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
- 売却したマイホームと買い換えたマイホームが日本国内のものであること
- 売却代金が1億円以下であること
- 居住期間が10年以上で売却した年の1月1日において売った家屋やその敷地の所有期間が共に10年を超えるものであること
- 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上のものであり、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものであること
- マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること
- 買い換えたマイホームには、売った年の翌年12月31日まで、もしくは売った年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日までに住むこと
- 買い換えるマイホームが、建築後使用されたことのない住宅である場合において、令和6年1月1日以後に入居(または入居見込み)であるときには、特定居住用家屋に該当するもの以外のものであること
- 買い換えるマイホームが、耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または一定の耐震基準を満たすものであること
- 買い換えるマイホームが、耐火建築物以外の中古住宅である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること、または、取得期限までに一定の耐震基準を満たすものであること
- 親子や夫婦などに売却していないこと
特定居住用財産の買換え特例は、控除とは異なり支払う税金を将来に繰り越すだけなので注意が必要です。
特例を利用する際には、売却した翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をおこなう必要があります。
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除は、令和5年12月31日までにマイホームを売却して赤字が出た場合に利用できる制度です。
旧住宅を売却し、新たにマイホームを購入した場合、旧住宅の譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できます。
なお、適用条件は以下のとおりです。
- マイホームであること
- 所有期間が譲渡年の1月1日時点で5年を超えていること
- 売却先(買主)と親族や家族でないこと
- 売却年の前年1月1日から翌年の12月31日までに新しいマイホームを購入すること
- 新しいマイホームに購入翌年の12月31日までに居住すること
- 購入年の12月31日までに住宅ローンを組むこと(返済期間10年以上)
- 新しいマイホームの床面積が50平米以上であること
参考:国税庁|No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除を受けるためには、マイホーム売却翌年の2月16日〜3月15日までの間に確定申告をする必要があります。
譲渡損失が初年度で相殺できない場合、2年目3年目も繰越控除が受けられます。繰越控除が生じる場合には、2年目3年目も確定申告をおこないましょう。
【Q&A】マンション売却に関するよくある質問
- マンション売却時に手元に残る金額は?
-
マンションの売却時に手元に残る金額は、売却額の95~97%が目安です。
以下に3,000万円で売却した場合のシミュレーションを作成しました。
3,000万円で売却した際手元に残る金額のシミュレーション仲介手数料 105,6万円
(3,000万円×3.3%+6.6万円)司法書士報酬 3万円 印紙税 1万円 合計 1,096,000円 手元に残る金額28,904,000円(3,000万円-109,6万円)
- マンション売却で得たお金はいつ手元に入る?
-
マンション売却で得たお金は2回に分けて支払われます。
1回目は売買契約を締結した際で、手付金として売却額の5〜10%が手に入ることが一般的です。
2回目は決済・引き渡しのタイミングで、おおよそ売買契約締結から1カ月後となります。
- マンションの売却方法に種類はある?
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マンションの売却方法は大きく分けて3種類あります。
マンションの売却方法仲介 不動産会社が間に入り売却活動をおこなう 個人売買 個人で買い手を探す 買取 不動産会社に買い取ってもらう もっとも一般的な売却方法は、「仲介」です。
個人売買は不動産の専門的な知識がない限り、現実的な売却方法とは言えません。
買取は短期間で売却できるメリットがありますが、相場よりも売却額が安くなることも。
売却方法ごとのメリット・デメリットを理解して、最適な方法を選択しましょう。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
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