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2024年08月07日更新
不動産査定の必要書類と任意書類
不動産査定は、必要な書類を揃えることが大切です。提出してはじめて精度の高い査定結果が得られ、それはまた売却を判断する材料にもなります。普段はあまり触れることのない書類であってもしっかり準備しましょう。ここでは不動産査定に必要な書類、あると良い書類について具体的にご説明します。
目次
不動産の査定から売却までの流れや期間
不動産を売却する場合、売却が完了するまでの期間は約3~6カ月と言われています。
どのような流れで不動産売却が行われるのか、それぞれの項目ごとに見ていきましょう。
実際に売却する際の条件によって所要期間は異なるため、ここで紹介している期間はあくまで目安となります。
1.不動産の査定を受ける
まずは売却予定の不動産の価格の相場を知るために、不動産会社による不動産の査定を受けましょう。
査定の方法は先ほど紹介した通り、机上査定と訪問査定の2通りの方法があります。
査定を依頼する手順としては、いきなり訪問査定を依頼するのではなくまずは机上査定でおおよその価格を出してもらいましょう。
その後、実際に売買の仲介を依頼する可能性のある不動産会社へ訪問査定を依頼して、より正確な価格を査定してもらいます。
この段階の査定は単に不動産の売買価格の目安を知るためだけではなく、仲介を依頼する不動産会社を見極める目的も兼ねています。
できれば1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる不動産会社を探しましょう。
訪問査定を依頼してから査定額がわかるまでは約1週間を目安とすると良いでしょう。
2.不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産の査定を通して、信頼して売買の仲介を依頼できる不動産会社が見つかったら仲介契約を締結します。
査定を依頼してから仲介契約の締結までには一般的には約1カ月かかると言われています。
仲介契約を締結したら不動産の売却に至るまで契約が有効であるかと言うとそうではありません。
不動産会社との売買の仲介契約の期間は最大3カ月となっているため、この期間内に購入希望者が見つからない場合は契約を更新するか、他の不動産会社へ仲介を依頼し直すことになります。
また、不動産を売却する際には上記で述べた仲介の他に、買取という方法があります。
仲介というのは売主と買主を不動産会社が仲介することによって売買を成立させますが、買取というのは不動産会社が買主となって物件を買い取ります。
買取では不動産売却の広告が不要となるため、売却までの時間を短縮でき短期間で不動産を現金化できるというメリットがあります。
しかし、買取の場合は仲介の場合に比べて売却価格が低くなる傾向にあるため、状況に応じて適した方法を選ぶと良いでしょう。
3.売却活動の開始
仲介を依頼する不動産会社が決定したら、査定価格を元に不動産の売り出し価格を決定します。
価格や売買の条件等が決定したら、いよいよ広告を出して売買活動が開始されます。
一般的にマンション等の集合住宅よりも戸建て住宅の方が売買の成立までに時間がかかると言われています。
その理由はいくつかありますが、価格や立地といった条件が購入希望者のニーズと中々合致しないことが考えられます。
購入希望者が見つかり次第売買契約の交渉に進みますが、戸建て住宅を売却する場合は売却までに1年以上かかってしまうケースもあるようです。
4.購入希望者と対象不動産の価格や条件の交渉を行う
購入希望者が現れたら物件を内覧してもらい、売買条件の交渉を行います。
購入希望者の心象を良くして少しでも好条件で売却できるように、日頃から家の手入れをしておきましょう。
不動産を売却する際には売り出し価格を設定しますが、購入希望者は購入申込書に購入希望価格を記載して提出してきます。
申込書に記載する金額は購入希望者が自由に記載することができるため、売り出し価格よりも低い金額で申し込まれる場合があります。
また引渡し時期の相談、エアコンなど室内残置物の相談など、購入者の希望により価格以外でも各種交渉が入ることがあります。
その場合は売主と購入希望者の間で売買条件を交渉することになります。
この交渉にかかる期間は約1週間が目安となります。
5.購入者と売買契約を結ぶ
売主・購入希望者共に売買条件に合意したら売買契約を締結します。
買主がローンを利用して不動産を購入する場合、ローンの審査の結果がわかるのを待つ必要があります。
通常、ローンの審査が完了するまでには約2~4週間かかると言われています。
買主の資金調達の目途が立ったら売買契約書に売主・買主が記名捺印します。
また、仲介をしている不動産会社が買主に重要事項説明書を交付して重要事項の説明を行います。
6.手付金を受け取る
売買契約を締結したら、不動産の売却代金の一部を手付金として受け取ります。
手付金の授受は売買契約の締結と同時に行われることが多いでしょう。
7.残代金を受け取る
契約書で定められた期間内に売却代金の残代金を受け取ります。
全ての代金の支払いが完了したら物件の引き渡しに移ります。
売買契約の締結から残代金の支払いまでは、早くとも1カ月以上となることが多いようです。
8.物件を引き渡す
全ての代金の支払いが完了したら物件の引き渡しを行います。
物件の引き渡しは権利書や対象不動産に関するパンフレットなどの書類の譲渡の他に、所有権移転登記によって成立します。
不動産査定の種類
不動産査定には机上査定と訪問査定の2種類があります。詳しく見ていきましょう。
机上査定
オンラインの一括査定サイトなどで完結できる簡易査定です。
住所や間取り、現状など物件の基本情報を送信するだけで、不動産会社が査定結果を出してくれます。
近隣住宅や周囲の状況、境界の状態などは含まれないため、査定の精度としてはそこまで高くありません。
ただ、気軽に申し込めるので、おおまかな売却の見込みを立てたい場合には便利な方法でしょう。
不動産査定で一括査定サービスを使うメリット
一括査定サービスを使うと、少ない手間で複数の不動産会社に査定を依頼でき、査定結果を自宅などでゆっくり検討することができます。
複数の不動産会社から同時に査定をしてもらえる
不動産を希望に近い金額で売却するためには、複数の不動産会社の査定結果を比較することが大切です。
しかし、査定のために何社も訪問し、売却する不動産の詳細を毎回説明していては時間がかかってしまいます。
一括査定サービスを使うと、複数の不動産会社を一社ずつ訪問して説明する手間が省け、短時間で複数社に査定を依頼することが可能です。
売却する不動産のおおよその相場がわかる
一括査定を利用して複数会社の査定結果を比較することで、売却を予定している不動産の相場が見えるようになります。
ただし、査定額は売却額とイコールではないため、一括査定の相場はあくまでも目安と考えましょう。
不動産一括査定の注意点
不動産一括査定は便利なサービスです。しかし注意点を踏まえて利用しなければ、上記のメリットを失うどころか、不利な条件での売却となる恐れもあります。
一括査定を依頼するためには事前準備が必要
一括査定サービスを利用するためには、査定を依頼したい不動産の情報や希望条件を、ご自身で申し込みフォームに入力しなければなりません。
フォームの入力項目には、土地の面積や建物の間取り、築年数といった不動産の基本情報だけでなく、売却の理由や不動産会社への要望といった具体的な質問もあります。
誤った情報を送信すると、査定額や不動産会社の営業意欲にも影響するため、一括査定サービスを利用する前に、売却予定の不動産に関する情報をご自身で揃えておきましょう。
訪問査定
不動産会社が実際に物件を見学、調査して査定する方法で、机上査定よりも高い精度で結果が得られます。
実際の売却価格に近い査定結果が得られるため、売却を現実的に検討している人に向いています。
ただ、複数の不動産業者に依頼する場合はそれぞれに対応しなければならず、手間と時間を要するでしょう。
また、簡易査定よりも必要な情報や書類が多いので、準備の必要も出てきます。
不動産の査定にかかる時間や結果がわかるまでの期間
不動産の査定には机上査定と訪問査定という2種類の査定方法が存在します。
それぞれの査定方法の内容について理解し、状況に応じて必要な査定を使い分けましょう。
机上査定にかかる時間
机上査定とは物件の所在地や築年数、間取りといった情報を元に不動産を査定する方法のことをいいます。
机上査定では不動産会社の担当者が物件へ来訪することなく査定額を算出します。
そのため、スケジュールの調整や担当者との対応といった手間が不要であり、手軽に査定額を知ることができるというメリットがあります。
机上査定にかかる時間は数時間から約1日と言われており、不動産のおおよその価格を知りたい場合には有効な査定方法となるでしょう。
ただし、不動産の価格というのは実際に物件の状態を確認しなければ正確な査定額を算出できない場合が多いものです。
そのため、必ずしも机上査定で得られた査定価格で不動産を売却できるとは限らないことを念頭に置いておく必要があります。
訪問査定にかかる時間
訪問査定とはその名の通り不動産会社等の担当者が実際に現場に来訪し、物件の状態を確認しながら査定する方法のことをいいます。
訪問査定では机上査定で査定する内容に加えて、現場の状況を加味して査定額を算出します。
そのため、より実際の売買価格に近い査定価格を知ることができるといったメリットがあります。
ただし、訪問査定を行う場合は担当者とのスケジュール調整や物件に関する書類の提出が必要であるなどの手間を要します。
現場で物件を確認するのにかかる時間は、物件の規模にもよりますが、約30分~1時間が目安となります。
査定結果がわかるまでの期間
査定結果がわかるまでの期間は、査定方法が机上査定であるか訪問査定であるかによって異なります。
机上査定の場合、早い場合は査定を依頼してから数時間で査定額がわかることもあるようです。
一方、訪問査定の場合は机上査定よりも多くの情報を加味して査定を行うため、机上査定と比べると査定結果がわかるまでにやや時間がかかります。訪問査定が行われてから約4~7日後というのが目安となります。
大まかな査定価格で良いのですぐに査定して欲しい場合は机上査定を、より正確な査定をして欲しい場合は訪問査定を利用すると良いでしょう。
机上査定に必要な書類
机上査定に必要とされる書類についてご説明します。簡易査定ですので、書類がなくても基本情報のみあれば査定可能なことが多いです。
ただ、詳しく知りたい、できる範囲で細かく査定してもらいたい、という場合には、次の書類を揃えておきましょう。
- 登記事項証明書
- 公図・測量図
- 建物の図面
- 不動産の所在地がわかる地図
- 権利書
- 購入時の図面や資料
登記簿謄本(登記事項証明書)
登記簿謄本とは、登記書類の内容を記した書類です。
現在は登記簿謄本ではなく登記事項証明書と呼ばれており、不動産売買の際には登記事項証明書の中でも全部事項証明書というものを使用します。
入手については、法務局に出向けば発行してもらえますが、返信用封筒および切手、申請書と印紙を郵送すれば郵送で入手することも可能です。
また、インターネットで「登記・供託オンライン申請システム」のサイトにアクセスし、アカウントを作成すればダウンロードで入手することもできます。
公図・測量図
戸建や土地は売却する時に境界線(杭)の確認と明示が必須です。土地の形状、地番や周囲の道路、水路、隣接地との境界線や境界杭についてまとめられているのが、公図や測量図です。
公図は法務局にて発行されており、測量図は民間で作成されています。
杭がない場合、通常は売主側が費用を負担して、測量、復旧する必要があります。
査定時に書類の有無を確認しておくと、後で焦らずに済むでしょう。
建物の図面
一戸建てやマンションの売却には、購入時の図面が必要となります。
間取りや設備配管などの情報が記載されています。
不動産の所在地がわかる地図
物件の正確な地番など住所がわかる地図は、不動産の所在や境界を明確に示す証拠として役立ちます。
権利書
登記所から交付される書類のひとつで、登記済権利証あるいは登記識別情報と呼ばれています。
不動産の権利の移転や保存を示すものです。
一戸建ての場合は、権利書が土地分と建物分で別になっていることがありますので、両方あるかどうかも確認しておきましょう。
訪問査定に必要な書類
続いて訪問査定に必要な書類をまとめていきます。
実際の物件を調査、確認しながら行われる査定とあって、精度の高い結果が得られる分、机上査定よりも専門的な書類を揃える必要があります。代表的な書類は下記のとおりです。
- 身分証明書・実印・印鑑証明書
- 登記事項証明書
- 権利書
- 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
- マンションの管理費や修繕積立金・維持費等が分かる資料(マンションのみ)
- マンションの管理規約(マンションのみ)
- 購入時の図面や資料
身分証明書・実印・印鑑証明書
所有者であることを証明できる運転免許書などの身分証明書や、契約に使用する実印とその印鑑証明書を用意します。
実印は売買契約書や登記申請書類を含め、契約全般で使う場面が出てきます。購入時の契約に使った実印が望ましいでしょう。
印鑑証明書は登記申請時の必要書類でもあります。
見つからない場合は市区町村の役所にて再発行を依頼してください。
登記事項証明書
登記簿謄本とも言われる書類で、不動産の登記情報が記載されています。
管轄エリア内あるいは最寄りの法務局で発行が可能で、所有者本人でなくても手続き可能です。また、郵送でも再発行を依頼できます。
権利書
机上査定でも揃えたい書類として述べましたが、登記所から交付される書類です。
登記済権利証、登記識別情報といった呼ばれ方もしています。
不動産の権利について書かれていますが、戸建てだと建物と土地の2つの権利書に分かれていることもありますので、両方が揃っているかどうかもあわせてチェックしておきましょう。
固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
毎年納めている固定資産税の納税額が明記されている書類です。納税額の確認だけでなく、移転登記に必要な登録免許税の計算にも必須となります。
最新のものだけで問題ありません。再発行したい場合は、市区町村の役所に依頼します。
マンションの管理費や修繕積立金・維持費等が分かる資料(マンションのみ)
マンションの場合、管理費や修繕積立金、維持費などのが明記された書類も用意しましょう。
買い主がローンとともに管理費や修繕積立金の支払いを行うために必要です。管理組合などが作成していますので、見つからない場合は問い合わせてみてください。
マンションの管理規約(マンションのみ)
マンションの使用規約やルールが記された書類は、売却後引き渡しまでには揃えておきたい書類のひとつです。
査定時にあれば、不動産会社に提示することで信頼度が増しますし、その後焦って探す必要もなくなります。
管理会社などが再発行してくれるので、紛失時には問い合わせてみましょう。
あれば参考になる任意の書類
ここからは不動産査定のタイミングでは任意とされる書類についてご説明しておきます。
必ず提出する必要はありませんが、後々売却が進むにつれていずれ必要になるものや、引き渡し時には買い主へ渡したいものなどもありますので、余裕を持って確認しておくと良いでしょう。
- 住民票(登記上の住所と現住所が一緒の場合は不要)
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書
- 住宅性能評価書・地盤調査報告書
- 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
- 建築確認済証および検査済証(戸建て&土地、マンション不要)
- 建築設計図書、工事記録書(戸建て&土地、マンション不要)
- 土地測量図・境界確認書(戸建て&土地、マンション不要)
- 大規模修繕工事計画(マンションのみ)
- 管理組合規約(マンションのみ)
- ローン残高証明書およびローン返済予定表
- 修繕・リフォームなどの契約書
住民票
住民票が必要となるのは、現住所と売却する不動産の登記上の住所が異なる場合のみです。
同じ場合には用意する必要はありません。
所有権移転登記のために住所を変更する必要があり、その際に住民票を提出する必要があります。
市区町村役場にて発行可能で、発行してから3ヶ月以内のものが有効ですので注意してください。
購入時の売買契約書・重要事項説明書
不動産購入時にもらえる売買契約書や、不動産会社やマンションの販売会社から配布されている書類である重要事項説明書も、手元にあることを確認しておきましょう。
住宅性能評価書・地盤調査報告書
不動産の価値を示すのに有利な書類が、住宅性能評価書や地盤調査報告書です。
住宅性能表示制度によって等級や数値で住宅の性能を評価しています。
国土交通大臣登録の第三者機関による評価という点では、公平さや正確さがあり、信憑性が高いため、査定結果を左右する十分な情報として扱われます。
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
築年数が古い一戸建てやマンションで特に注意してほしいのが、耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書です。
新しい建築基準法が導入される以前に立てられた建物は、安全性の証拠としてこれらの書類を求められることがあります。
アスベスト使用調査報告書は住宅解体時などにも必要です。古い基準のままだと売却が比較的難しいと判断され、査定結果に響く可能性があります。
建築確認済証および検査済証(戸建て&土地、マンション不要)
建築物が基準に沿っているかどうか審査結果を記した書類が建築確認済証や検査済証です。
発行は市区町村が行い、ハウスメーカーから購入時にもらうことになっています。
見つからず再発行してほしい時には、市区町村に直接問い合わせるのが無難でしょう。
建築設計図書、工事記録書(戸建て&土地、マンション不要)
新築時の設計図や施工の記録書は、買い主にとって重要な書類です。リフォームや修理を行う際に必要になる、設備や構造などの情報が記載されています。
土地測量図・境界確認書(戸建て&土地、マンション不要)
土地の面積、隣接する住宅や土地との境界線といった情報を記している書類が、土地測量図や境界確認図です。
法務局で再発行を依頼できるので、見つからない場合は問い合わせてみましょう。
大規模修繕工事計画(マンションのみ)
住居者にとって大きな出費である大規模修繕工事について、計画が記載された書類です。
買い主にとっては重要な情報となるので、必ず引き渡しまでに用意しましょう。
管理組合規約(マンションのみ)
マンションの管理組合規約は、住む人にとって重要なルールや規約が記された書類です。
ペットを飼えるかなどのルールを事前に知っておくことは、後のトラブルを避けるためにも有効ですので、事前に提示できるよう準備しておきましょう。
ローン残高証明書およびローン返済予定表
売却時の査定には関係ないと思われがちですが、新しい住宅やマンションに買い替える場合など新しいローン契約には必須となります。
修繕・リフォームなどの契約書
マンションなどで修繕やリフォームについて決まりを定めた契約書がある場合、引き渡しまでに必要となります。
また、内容によっては査定に影響する可能性もあります。
提出時の注意点
不動産査定を実際に依頼する場合は、求められた書類を正確に揃えて提出する必要があります。
複数の不動産会社にお願いする場合は同じ書類を提示し、同じ条件下で査定内容を比較検討していきます。
また、情報が多い方が査定結果の精度が高くなることも覚えておいてください。
査定についてのやりとりや結果など、不明な点がある場合は不動産業者に必ず相談し、納得できるまで確認しましょう。
残置物の撤去が面倒で、できればそのまま引渡ししたいなど物件による要望などあればまとめて共有しましょう。
不動産査定を行う前に知っておきたい注意点
一括査定でも、不動産会社に直接査定を依頼する場合でも、不動産の査定を依頼する前に、不動産会社ごとの査定基準の違いや、高額査定に潜むリスクなどについて知っておきましょう。
不動産の査定基準は不動産会社によって異なる
不動産査定は、査定を行う不動産会社によって結果が大きく異なります。
同じ不動産でも、相場に近い金額を出してくれる不動産会社もあれば、相場より低い金額になってしまう不動産会社もあるでしょう。
個人の不動産査定は、「取引事例比較法」または「原価法」で算出されます。
取引事例比較法とは、査定を行う不動産と似た別の不動産を比較し、査定する不動産の立地条件や間取りなどを加味して価格を算出する査定方法です。
もう一つの原価法では、査定を行う不動産を再び調達した時の費用を算出し、出た金額に対し経年劣化などの減価分を控除して売却価格を算出します。
どちらの査定方法でも、査定に用いる資料や数字は各不動産会社が選ぶため、依頼した不動産会社によって査定結果に違いが生じることをおさえておきましょう。
査定結果は書面に残してもらう
不動産査定の結果は「不動産査定書」として書面で残してもらいましょう。
査定書は無料で発行してもらうことができ、複数の不動産会社の査定結果を比較する時や、不動産会社を選ぶ時の資料にもなります。
なお、不動産鑑定士に有料査定を依頼した場合は「不動産鑑定書」を作ってもらうことが可能です。
税務署等の公的機関などから、不動産評価額の資料として提出を求められた場合はこちらを有料で作成してもらいましょう。
不動産査定を受けた後の注意点
不動産査定の後は、媒介契約を依頼する不動産会社を選んでいきます。
担当者に査定額の根拠や媒介契約後の売却プランなども質問しながら、不動産売却を任せられる不動産会社を選びましょう。
高額な査定結果をすぐに信用しない
不動産会社の中には、高額な査定で客の興味を引き、媒介契約を結ばせようとする所もあります。
しかし、不動産は必ずしも査定額通りに売れるわけではありません。
高額査定を信じて媒介契約に進んでも、相場より売却価格が高いためなかなか購入希望者が現れず、最終的に売却価格を下げざるを得なくなり、時間をかけて安い価格で売る結果となる恐れがあります。
複数社に査定を依頼して金額の根拠を慎重に比較し、不自然な高額査定が出ても、すぐに契約に進まないよう注意しましょう。
査定額の根拠を不動産会社から説明してもらう
不動産の査定は、各不動産会社が様々なマニュアルを元に作成し、どのように査定をしたかは、査定を行った各不動産会社しか知りません。
そのため、査定後は不動産会社に査定額の根拠を必ず説明してもらいましょう。
例えば、ある不動産会社が「日当たりが悪い建物」という理由で低い査定を出しても、別の不動産会社は「日当たりは悪いが近隣に競合物件がないので売れる可能性がある」という理由で高く査定しているかもしれません。
査定の根拠を一社ずつ尋ねることで、担当者の経験や知識量なども見えるようになり、安心して任せられる不動産会社かどうかを判断しやすくなるでしょう。
具体的な売却プランを不動産会社に質問する
査定の時点で、売却も見据えて不動産を評価している不動産会社であれば、売却時の具体的なプランをすぐに提案してくれる可能性があります。
売却開始から一ヶ月間の売却価格、一ヶ月経過後の売却価格、不動産会社が買い取る場合の売却価格など、シーンごとの売却価格を細かく予測してもらうことで、極端に低すぎない妥当な査定価格を出してもらえるでしょう。
「妥当な価格で早めに売りたい」「高めに売れるなら時間をかけてもいい」など、売主側の希望も伝えると、さらに現実的な売却プランを考えてもらえるかもしれません。
安心して査定と売却を任せられる不動産会社の選び方
不動産の査定から売却まで、安心して任せられる不動産会社を選ぶ際は、
- 査定の時点で売却まで想定してくれているか
- 売主の事情に即した具体的なプランを考えてくれているか
- 売却が有利になる特典があるか
などのポイントを比較すると良いでしょう。
査定の時点で売却まで見据えてくれる不動産会社を選ぶ
希望の売却価格や条件で不動産を売却するためには、不動産と売主の事情を考慮して、査定や売却プランを考えてくれる不動産会社を選ぶことがポイントです。
提案が大ざっぱで具体性に欠けていたり、査定の金額だけを提示して、媒介契約に進まなければ具体的な売却プランを教えてくれなかったりする不動産会社では、安心して売却に進むことができません。
悪質な不動産会社の中には、別の売りたい不動産を魅力的に見せるために、わざと悪い点を強調して紹介する「当て物件」を作る所もあり、もし当て物件にされてしまうと売却が不利になってしまいます。
「いつまでになぜ不動産を売りたいのか」といった、売主の事情を考慮しながら、売却時期やプランを提案をしてくれる不動産会社かどうかを見極めましょう。
媒介契約の特典も比較して売却を有利にする
媒介契約には、以下の3種類があります。
- 専属専任媒介契約:他の不動産会社の仲介や個人間での売買取引ができない
- 専任媒介契約:他の不動産会社の仲介はできないが、個人間の取引は可能
- 一般媒介契約:他の不動産会社の仲介や、個人間の取引が可能
このうち専属専任媒介契約では、他の不動産会社に仲介を依頼できなくなり、売主個人が買い手を見つけた場合も、媒介契約を結んでいる不動産会社を通じて取引を行わなければなりません。
しかし、不動産会社の中には「専属専任媒介契約」に特典を設けている所もあります。
特典の例としては、無料除草、無料ハウスクリーニング、仲介手数料の割引などがあり、内容によっては売却を有利に進められるでしょう。
専属専任媒介契約の特典を有効に活用するためには、媒介契約を結ぶ前に各不動産会社の特典を比較し、特典が適用されないケースなども確認して、予算や不動産の状態に適した特典を選ぶことがポイントです。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
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