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2024年08月13日更新
親の老人ホーム入居を機に親の自宅を売却する場合のポイントを解説!
高齢化社会となり、別居している親が老人ホーム等に入所することになった場合、残された自宅の扱いが問題となります。この記事では実家が空き家となった場合の不動産はどのように扱うと良いのかについてご紹介します。
親の老人ホーム入居で空き家になった自宅の取り扱いについて
親が老人ホームやサービス付きなどの高齢者住宅に入居すると、別居していた場合は実家が空き家となってしまいます。
この空き家となった実家はどのタイミングでどのように扱うとよいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
空き家になった自宅を売却する
親が老人ホームなどに入所し、実家が空き家になった場合は、売却するという方法がまず考えられるでしょう。
このケースでは、不動産を親から贈与される前や相続する前に売却して現金に変える方が賢明だと言われています。
というのも贈与された場合は贈与税の対象となり、相続した場合には相続税が課せられることになるからです。
しかし、親の名義になっている不動産を売却することは、実の子であってもできません。
売却するには親の同意をとり「委任状」を用意して代理で手続きを行うことになります。
譲渡された空き家の自宅を賃貸に出す
自宅の地価が高いなどの理由で贈与税が高額になる場合には、売却する以外に賃貸に出すという方法があります。
空き家の実家を賃貸に出す場合には、次のようなメリットやデメリットがあります。
メリットとしては、借り手が見つかった場合に家賃収入が得られる点がまず挙げられるでしょう。
また、賃貸に出した土地や建物は、将来相続した際の相続税の評価が約2〜3割ほど下がります。
そのため、相続税を抑えることにもつながるでしょう。
ただし、デメリットとして誰も入居していないと家賃収入も得られませんし、相続時の評価減を受けることができず節税にもならない点が挙げられます。
また高齢化社会となり、今後は賃貸にしたいという空き家物件も増えることが予想されるため、賃貸物件間の競争率が高くなる可能性も考えられるでしょう。
売却と賃貸とどちらが良いか、一概に言うことはできません。
家賃収入の方が多く得られそうな場合には賃貸の方がよい場合もあるためです。
空き家となっている家屋の状況や状態によって、どちらが良い選択になるかは変わってくるため、十分に試算や検討を行った上で結論を出すようにしましょう。
親の老人ホーム入居後、空き家になった自宅の売却にかかる税金
親が老人ホーム等に入居し空き家になった実家を売却する場合には、どのような税金がかかるのでしょうか。
自宅を売却して得た利益を「譲渡所得」と呼び、その所得に対して「所得税」が課せられます。
譲渡所得の詳細や控除制度について詳しく見ていきましょう。
自宅を売却する際の譲渡所得の計算方法
空き家となった実家を売却して得た「譲渡所得」とはどのように計算したらいいのでしょうか。
譲渡所得の金額は、実家を売った金額から、実家を購入した時の経費である「取得費」や、譲渡の際にかかった費用である「譲渡費」を差し引いた額です。
また、この譲渡所得に対する税率は、対象となる不動産の保有期間で変わるため注意しましょう。
「譲渡所得=売却金額-(取得費+譲渡費)」
実際の税額を計算する際には上記の譲渡所得から特別控除の金額を差し引いた額が課税対象額になります。自宅を売却する時の特別控除額は、3000万円です。
また、親などが自宅を購入した当時の売買契約書を持っていない場合は、取得費がどうしてもはっきりとしないことがあります。
そのような時には、取得費不明ということで「概算取得費」というものを用います。
その場合、譲渡価額の5%が取得費とみなされます。
例えば3,000万円で売却できた家の取得費が不明な場合の取得費は、「3,000万円×5%=150万円」となります。
そして150万円で買った実家が3,000万円で売れたので2,850万円の利益が出たことになりるのです。
しかし、ここに3000万円の特別控除が適応されると、課税譲渡所得金額が3,000万円以内なるため課税の対象とはなりません。
しかし売却金額が高くなり、取得費や譲渡費を上回れば所得税が課せられることになります。
課税譲渡所得の3000万円特別控除について
課税譲渡所得の3000万円の特別控除は、2016年度の税制の改正で適用されるようになったものです。
実家を売った利益分のうち3,000万円が非課税となります(令和5年4月1日現在法令等)。
この制度は最近の空き家の増加によりその処分を促進することを目的としたものです。
代理で自宅を売却した場合だけではなく、実家の空き家と敷地を相続した場合でも一定の要件を満たした場合には、譲渡益に関して3,000万円の特別控除が適用されます。
この特別控除は、「自宅」の売却に適用される制度です。実家が空き家になって3年以上たつと自宅とは認められないため、売却したとしてもこの控除は受けることができません。
3000万円特別控除は老人ホーム入居後でも適用されるか
3000万円特別控除は「自宅」に対して適用されるものですが、自宅とは生活の拠点のことです。
そのため、老人ホームに入居した場合には老人ホームが「自宅」の扱いとなり、空き家となった家屋は「自宅」とは認められなくなるのです。
この控除が有効なのは対象となる家屋が空き家となってから3年目となる日の年の年末までです。
そのため、この期日までに実家を売却しなければ3,000万円の特別控除が適用されなくなるため注意しましょう。
相続の場合「小規模宅地等の特例」が適用されることも
親が亡くなり自宅を相続した場合、330平方メートルを限度として条件を満たせば「小規模宅地等の特例」が適用されます。
この特例が適用されると、相続時に土地の本来の評価額から80%が減額されます。
しかし適用されるには、被相続人の配偶者が相続すること、被相続人と同居していた親族が相続することなど、いずれかの条件に当てはまることが必要です。
つまり、この特例が適用されるには被相続人と「同居」していたことが求められます。
また、この制度は、同居していた被相続人が老人ホームに入居した場合でも適用されます。
親の自宅を売却する場合の注意点
親が老人ホームに入居したのを機に実家を売却しようとしている時には、次のような点を注意する必要があります。
自宅の登記を親から子へ名義変更する場合は「生前贈与」とみなされる
実家の登記の名義を親から子へと名義変更した場合には、「生前贈与」とみなされます。
この場合、不動産が贈与されたことになるので、贈与税が課せられることになります。
贈与された土地の地価が高い場合などには多額の贈与税が課せられますが、「相続時精算課税制度」などのさまざまな特例制度もあります。
不動産の贈与を受ける場合はこのような制度についてもあらかじめ情報を集めておきましょう。
また、生前贈与とみなされた場合には、贈与税の他に登録免許税や不動産取得税なども課せられます。
登録免許税というのは、実家の不動産の名義変更で所有権移転登記をする際にかかるものです。
登録免許税の税率は、対象となる不動産の固定資産評価額の2%となります。
ちなみに相続によって所有権移転登記を行った場合には、登録免許税の税率は不動産の固定資産額の0.4%となります。
生前贈与と相続とでは、登録免許税の税率が大きく違いますので注意しましょう。
また不動産取得税の税率は、土地および住宅などの不動産価格の3%となります。
課税の対象は、土地については評価額の2分の1、家屋は全体の評価額が対象になります。
ただ土地の贈与に関しては、不動産取得税の軽減が受けられたり、不動産取得税が必要ではない場合もありますので、該当しないかどうか確認しておきましょう。
自宅の売却完了までには数か月かかる
自宅を売却する場合には、さまざな手続きが必要な上に高額な取引になるため、完了するまでに数か月がかかります。
需要もあり、売り物件があまりないような地域ならば、1ヵ月ほどで売れるケースもありますが、条件がよくない地域では自宅が売れるまでに1年以上かかるケースもあるのです。
もし特定の時期までに自宅を売却したいなどの希望がある場合には、スケジュールに余裕を持って売却の計画を立てましょう。
自宅を売却する前に査定しておく
自宅を売却する場合には、前もって不動産会社等に査定を依頼して、おおまかな売却予想金額をつかんでおきましょう。
不動産会社による自宅の査定の場合、結果がでるまでに数日から1週間ほどかかります。
この不動産会社などによる査定では、不動産会社で以前扱った物件の中から、該当の不動産に似た物件の情報を参考にして、査定額が出されます。
簡易的な査定の場合には、その日のうちに結果が出るということもあるでしょう。
しかしより詳細に査定をしてもらいたい場合には、不動産会社の方に直接自宅に来てもらい査定を行う「訪問査定」を利用しましょう。
このように簡易的な査定でも訪問査定でも一般的には無料で行われることが多いので、自宅を売却する際には積極的に利用することをおすすめします。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
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