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2024年01月14日更新
不動産査定に料金はかかる?有料査定の種類と費用について
不動産売却を考えたときに初めに行う「不動産の査定」ですが、不動産の査定には「有料」と「無料」の2種類があります。無料の場合は不動産会社が行いますが、有料の場合はどのような査定を行うのでしょうか?不動産の有料査定について詳しくご紹介します。
目次
料金のかかる不動産査定とはどのような査定なの?
不動産の査定には「無料査定」と「有料査定」があります。
「無料査定」とは、不動産会社が行う査定のことです。
一方「有料査定」は、国家資格を有した不動産鑑定士が行います。
無料査定では、不動産会社が過去の取引実績や不動産の情報などをもとに、各不動産会社が査定額を算出します。
不動産会社が行う査定はなぜ無料なのかというと、無料査定で出した査定額によって自社を選んでもらい仲介契約を結びたいという意図があるからです。
すなわち不動産会社の「営業の一環」ということになります。
仲介契約とは、不動産売却時に売主と締結する契約のことで不動産が売却できるように販売活動を行うことです。
不動産会社は仲介契約で得られる手数料で利益を発生させるため、無料査定はそのきっかけとなる行為となります。
では、有料査定はどうでしょうか。
無料査定は不動産会社が過去の実績などから算出する方法に対して、有料査定は不動産鑑定士が法律で定められた「不動産鑑定評価基準」に則って査定額を算出します。
「不動産鑑定評価基準」では手順や方法が決まっており、査定額を算出するのに時間がかかります。
有料査定の種類によっては、裁判や税務署の証拠資料として採用されるため信頼性の高い査定と言えます。
不動産会社が行う無料査定は営業の側面があるため「査定額が高め」になるのに対して、不動産鑑定士が行う有料査定は損失を最小限にとどめるために「査定額が低め」となるケースが多い傾向にあります。
有料の不動産査定とは?
有料の不動産査定とは誰がどのようにして査定を行うのでしょうか。
また、どのような場合に有料査定が必要なのかを見ていきましょう。
不動産鑑定士による不動産評価
有料の不動産査定とは、「不動産鑑定士」という国家資格を有する人によって行われる不動産査定のことです。
不動産鑑定士は、法律で定められている「不動産鑑定評価基準」に則って不動産を鑑定します。
不動産鑑定士は、不動産査定や不動産鑑定をすることによって収入を得ているため、不動産鑑定士による査定は基本的に有料となります。
不動産鑑定士による鑑定書は「不動産鑑定評価書」と「不動産査定書」の2種類があり、使用する用途によって使い分けます。
では、不動産鑑定評価書と不動産査定書が具体的にどのような内容なのか見ていきましょう。
不動産鑑定評価書
不動産鑑定書は法律で定められている「不動産鑑定評価基準」に則って不動産の査定を行います。
国が定めた手順や基準をもとに評価を行わなければならないため、時間や手間がかかる鑑定です。
また、不動産鑑定書は裁判所や税務署などへの証拠資料としても使用できるため、信頼性の高い不動産の鑑定書と言えます。
不動産査定書
一方、不動産査定書は不動産鑑定評価書のように国の基準や手順に則って鑑定を行わずに簡易的に査定されるため、不動産鑑定評価書の簡易版とも呼ばれています。
通常、不動産鑑定評価書を依頼すると手間や時間がかかり費用が高額になってしまうため、簡易的な鑑定書が欲しいというニーズに応えるために不動産査定書が存在します。
どのような場合に有料査定が必要なのか
では、どのような場合に有料査定が必要なのでしょうか。不動産の有料査定が必要な状況は以下の通りです。
・遺産相続で適正な不動産価値を出す必要があるとき
不動産を相続した場合、遺産分割する際に揉めてしまうケースがあります。
その場合、不動産の価値を出すために不動産鑑定評価書を取得し、裁判資料として提出します。
・立退料や賃料でトラブルになったとき
立退料や賃料でトラブルになったときの資料として不動産鑑定評価書を裁判所に提出します。
・関係会社間の不動産取引のとき
関係会社間で不動産取引をするときに、不動産鑑定評価書が必要になることがあります。
会社間取引の際、買い手に損失を与えないように適正価格の証明として不動産鑑定評価書を取得します。
上記のように、有料査定が必要になるのは、基本的に不動産の法的な証拠が必要な場合です。
不動産鑑定の費用相場
不動産鑑定士に不動産の査定を依頼した場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか。
費用は対象となる不動産の評価額によって異なります。不動産鑑定評価書と不動産査定書を依頼した場合の費用の相場は以下の通りです。
【不動産鑑定評価書の費用相場】
〜2億円以下
- マンション:約85〜95万円
- 土地と建物:約60〜75万円
- 更地:約50〜約60万円
〜1億万円以下
- マンション:約70〜85万円
- 土地と建物:約50〜60万円
- 更地:約30〜約40万円
〜5,000万円以下
- マンション:約60〜70万円
- 土地と建物:約30〜50万円
- 更地:約25〜約30万円
1,000万円以下
- マンション:約30万円
- 土地と建物:約25万円
- 更地:約20万円
上記の金額はあくまで目安となります。また、裁判資料用の場合は上記の料金より費用がかかる可能性があります。
【不動産査定書の費用相場】
- マンションの場合:約15〜約20万円
- 土地と建物の場合:約15〜約20万円
- 更地の場合:約10〜約15万円
不動産査定書の場合、査定評価額によって料金が変わることはほとんどありません。
そのため、上記の費用が大体の相場となるでしょう。
料金のかかる不動産査定を行う不動産鑑定士とは
有料の不動産査定を行う不動産鑑定士とは、国家資格を持ち不動産の鑑定評価を行う人のことです。
不動産鑑定士が行う鑑定評価は、上記でも少し触れましたが「不動産の鑑定評価に関する法律」に則って評価をします。
不動産鑑定士が行う不動産鑑定は、不動産鑑定士の「独占業務」とされており不動産鑑定士以外の人が行うことはできません。
不動産鑑定士のもとへ鑑定依頼をする依頼元は主に、税務署や国土交通省などや独立行政法人、地方公共団体などの公共機関からデベロッパーや金融機関などの民間企業が中心となります。
不動産鑑定士になるには「不動産鑑定士試験」に合格しなければなりません。
不動産鑑定士試験は、司法試験や公認会計試験と並ぶ三大難関試験となります。
不動産鑑定士の合格者は毎年100人程、合格率は5%程度と、試験の難しさがうかがい知れます。
そして晴れて不動産鑑定士に合格した場合、日本不動産鑑定士協会連合会に入ることができます。
試験の難しさがあってか、近年減少傾向にある不動産鑑定士を増やすために、国土交通省が対策を行なっています。
不動産業者が行う無料査定とは
一方、不動産の「無料査定」は不動産業者が行います。
無料査定は、不動産会社が過去の取引実績などをもとに不動産を査定する方法です。
不動産業者が行う無料査定は、査定後取引を行うことを目的とした営業の一環となるため、不動産会社によって査定額が異なります。
一般的に不動産会社は売買契約を結んだときの仲介手数料を目的としているため、基本的に不動産会社による査定は無料になります。
また、無料査定価格次第で不動産の売買契約の取引が決まるため、できるだけ自分の会社を選んでもらえるように有料査定額や実際の売却価格よりも高くなる傾向があります。
では、不動産の売却をしたい場合は有料査定・無料査定どちらを選んだ方がいいのでしょうか。
一般的な不動産の売却の場合は、無料査定で十分だと思われます。しかし、ここで注意しなければならないのが査定額です。
無料査定はあくまでも不動産会社の営業の一環であるため、高めの査定額を提示する可能性があります。
そのため、実際の販売価格とは異なることが多いということを念頭に置いておきましょう。
不動産業者査定の種類と依頼方法
不動産業者による査定には、「机上査定」と「訪問査定」とがあります。
どちらの査定も不動産を売却すると決定してから不動産会社と仲介契約を結ぶまでの流れの中で行われます。
そのため、机上査定や訪問査定の評価や不動産会社の対応によってはそのまま仲介契約を結ぶ可能性もあるでしょう。
では、不動産業者と契約すまでの流れと机上査定・訪問査定の内容を見ていきましょう。
不動産業者と契約するまでの流れ
不動産業者と契約するまでの流れは以下の通りです。
1 不動産売却に必要な書類を準備する
不動産売却に必要な書類は売買契約書・重要事項説明書・権利書・建物図面や設備の仕様書・土地測量図などがあります。
一戸建て住宅の場合は物件の構造を示す書類など、マンションの場合はマンション規約なども用意しておくといいでしょう。
2 机上査定の実施
売却額の参考にするために机上査定を行います。詳しくは「机上査定」の項目にて後ほどご紹介します。
3 複数業者に売却相談をする
机上査定は簡単に算出でき、査定価格が異なることが多いため相場を知るために複数社に売却相談をします。
査定価格も大切ですが、不動産会社の対応やサービスなども仲介契約を結ぶ際の参考となるでしょう。
4 訪問査定の実施
より精度の高い金額を把握するため、訪問査定を行います。
詳しくは「訪問査定」の項目にて後ほどご紹介します。
5 業者を選定し契約
上記の過程を経て、信頼できる不動産会社が見つかったらその業者と仲介契約を結びます。
机上査定前の段階では物件の詳細が記載してあるものだけでも十分ですが、机上査定後の訪問査定時に必要になるため、売却を決めたら早めに準備しておくといいでしょう。
机上査定
机上査定とは物件の築年数や所在地、間取りなどのデータや概要を過去の売買実績などをもとに簡易的に査定する方法となるため「簡易査定」と呼ばれることもあります。
机上査定は実際に物件を見ずに数時間から1日ほどで査定するため、あくまで参考程度の査定価格になります。
インターネットでは不動産一括査定サイトがあり、自分で必要事項を入力するだけで複数社の不動産会社とやり取りできます。
一度に複数社とやり取りできるため、自宅の売却相場を把握することができるでしょう。
その他に、直接不動産会社の窓口へ行き、机上査定を依頼する方法もあります。
机上査定のメリットは近隣の人に売却のことを知られずに、査定額を知ることができる点でしょう。
しかし、机上査定は複数社から勧誘の電話がきてしまうことがデメリットとなる可能性があります。
机上査定はすぐに査定価格を知りたい場合や物件の売却を決めかねている場合、自宅の売却相場を知りたい場合には有効な手段となるでしょう。
訪問査定
訪問査定は、不動産会社が実際現地へ行き対象物件の状況や環境を確かめた上で、机上査定の内容と照らし合わせて適切な査定額を算出する方法です。
「詳細査定」とも呼ばれています。
机上査定よりも情報量が多い中で査定するため机上査定より信頼性が高い査定価格となり、訪問査定の結果は通常1週間ほどかかります。
机上査定と訪問査定の査定額の差は約数百万程と言われています。
訪問査定のメリットは、何と言っても売却価格に近いより正確な金額が分かることです。
一方デメリットは、必要書類を揃えたり訪問査定時に在宅しなければならないことなどが挙げられます。
訪問査定を行う場合は不動産業者の選定段階に入っており業者選択のカギとなります。
そのため、訪問時に担当者が分からないことや不安なことに対して誠実に答えてくれるかなどの対応を見ておくのも重要です。
不動産の有料査定と無料査定の違いは?
不動産の有料査定と無料査定の大きな違いは費用と査定期間、そして信頼性でしょう。
先程もご説明しましたが、不動産の査定が有料だったら多額の査定費用がかかるため複数社に査定依頼しづらくなります。
また、査定期間も異なります。有料査定の場合は不動産査定書でも数日〜1週間、不動産鑑定評価書の場合はさらに時間がかかり約2〜約3週間程度が一般的です。
しかし、無料査定の場合はその場で査定価格がわかるケースもあるため、少しでも早く査定額が知りたい場合に無料査定は適しています。
次は用途別で比較してみましょう。裁判や税務署などに証拠資料として提出したい場合は信頼性の高い「有料査定」を選びます。
しかし、一般的な不動産の売却であれば「無料査定」で十分と言えるでしょう。
ここで注意が必要なのが、有料査定と無料査定のどちらも「査定価格=売れる売却価格」と思わないようにしなければならない点です。
売却価格は市場の状況や不動産の環境などによって異なるため、あくまで目安として考えておきましょう。
料金のかかる不動産査定の種類とは
料金のかかる不動産査定の種類には不動産鑑定評価基準に則った「不動産鑑定評価書」、不動産鑑定評価基準に則らない「価格等調査」があります。それぞれどのようなときに利用されるのか見ていきましょう。
不動産鑑定評価書
不動産鑑定評価書は「不動産の鑑定評価に関する法律」をもとに作成された書類のことです。
不動産鑑定の手順や方法など法律で定められた通りに鑑定するため、信頼性が高い書類となります。
「料金のかかる不動産査定とはどのような査定なの?」でもお伝えしましたが、不動産鑑定評価書はその信頼性の高さから税務署や裁判の証拠資料などに使用できます。
意見書
意見書は不動産鑑定評価書とは違い、法律規定にはこだわらずに簡易的に鑑定して価格等を記載した書類になります。
法的な効力がないため、税務対策や裁判などには使用できません。
既存の鑑定評価書に対し、第三者の立場からの意見が欲しいときや個人的に鑑定してもらいたいときに利用します。
調査報告書
調査報告書とは、不動産の権利関係や市場の動向調査をまとめた書類のことです。
調査報告書は、不動産鑑定評価書と比べて費用が安価で納品時間も短縮されます。
意見書や調査報告書は、あくまでも「簡易的な鑑定評価」という位置付けのため「鑑定」や「評価」という単語を使用してはならないと決められています。
料金のかかる不動産査定の費用金額は決まっているの?
不動産鑑定士が行う不動産鑑定の料金は全国一律料金ではないため、各不動産鑑定業者によって費用は異なります。
一般的な不動産鑑定評価書・意見書・調査報告書の費用相場は以下の通りです。
- 不動産鑑定評価書:約20万円〜約95万円
- 意見書:約3万円〜
- 調査報告書:約10万円〜約33万円
上記の費用を見てみると、不動産鑑定評価書は法律に則って査定が行われるため、費用が一番高額になる傾向にあります。
次に費用が高いのが調査報告書で、不動産鑑定評価書の半額〜3分の1程度の費用相場となるでしょう。
一番費用が安価な意見書は、簡易的な査定となるため不動産鑑定評価書や調査報告書に比べ費用が抑えられています。
不動産鑑定評価書と調査報告書は、土地・建物・マンションなのか、不動産の鑑定評価額はいくらなのかによって費用が異なります。
また、費用の傾向として個人の不動産鑑定事務所は費用が安価で、大手の不動産鑑定会社は費用が高額になる傾向にあります。
料金のかかる不動産査定はどこに依頼すればいいの?
有料の不動産鑑定を依頼したい場合、どのような場所に行けば不動産鑑定士がいるのでしょうか。
有料の不動産鑑定は、不動産鑑定士がいる事務所に依頼します。
しかし、不動産鑑定士にも得意な物件種類などあり、目的にあった不動産鑑定士の方に依頼ができないと、不動産の鑑定書が必要なのに不動産の鑑定価格が正しくない場合、裁判や税務署の証拠資料として使用できない可能性があります。
また不動産鑑定士によって鑑定評価が異なるケースも少なくないため、信頼できる不動産鑑定士を見つけることが重要です。
また「料金のかかる不動産査定の費用金額は決まっているの?」でもご紹介しましたが、不動産鑑定業者によって費用が異なります。
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この記事の監修者プロフィール
株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
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