2024年08月07日更新

監修記事

不動産・土地査定の方法と評点について

個人が所有している不動産の土地査定では、査定対象物件に「評点」を付けて、他の土地の価格と比較する「取引事例比較法」を用いられることが一般的です。この記事では、できるだけ高い査定額にするために、不動産査定の方法や流れ、評点などを解説します。

不動産の査定方法と土地価格の種類

不動産 査定 評点

不動産査定時の評点や査定価格の決まり方を知るために、まずは「不動産査定の種類」と「土地価格の種類」を区別しておきましょう。

不動産の査定方法は3種類

不動産の査定方法は3種類あり、土地の性質や売却目的等によって使い分けられます。

  • 取引事例比較法
  • 原価法
  • 収益還元法

取引事例比較法

取引事例比較法とは、「査定する不動産」と「査定する不動産に似た別の不動産」を、あらゆる評点で比較して不動産の相場を求める査定方法です。

一般的に、個人の不動産は取引事例比較法で査定されます。

原価法

原価法とは、売却する不動産を再調達した時の価格(再調達原価)に対し、減価分を差し引いて査定額を求める方法です。

再調達原価とは、建物の場合は建築費用、土地であれば造成費用が該当します。

収益還元法

収益還元法は、個人の住宅よりも、賃貸用物件の査定で用いられる方法です。

収益用物件とした時、その不動産がもたらす収益をシミュレーションし、収益の結果に応じて査定価格を考えます。

不動産査定で登場する土地価格の種類

定価が存在しない土地は、状況に応じて様々な視点で価格が決まります。

以下は不動産査定で登場することの多い土地価格の一覧表と、各土地価格の詳細です。

土地価格の種類 内容 取り扱う機関 公表時期
実勢価格 不動産を実際に売却した時の取引価格
公示地価 全国の不動産鑑定士が調査し作成する、その年の1月1日時点の標準的な土地価格 国土交通省 毎年3月
基準地価 各都道府県が公表する、その年の7月1日時点の土地価格 各都道府県 毎年9月
路線価額 土地が面している道路の価格(路線価)を元に計算された土地価格 国税局が「路線価」を決定する 毎年7月
固定資産税評価額 固定資産税や不動産所得税などを決める時に使う土地価格 各市町村 毎年4月

実勢価格

実勢価格とは、実際に売却が成立した不動産の取引価格のことです。

公示地価

公示地価とは、国土交通省が毎年3月に発表している、その年の1月1日時点の土地価格です。

全国の不動産鑑定士が、土地の形や立地、利便性などを調べて決定します。

公示地価は一般市民にも公開されており、全国の標準的な土地評価額として、不動産査定のベースとなる価格です。

基準地価

基準地価とは「都道府県地価調査」のことで、各都道府県が毎年9月に公表する、その年の7月1日時点の土地価格のことです。

基準地価は、不動産査定が公示地価に偏らないよう補完するための土地価格です。

また、公示地価と違って、基準地価では都市計画区域外にある土地価格も公表されます。

路線価額

路線価額とは、土地が面している道路の価格である「路線価」を元に算出する土地価格のことです。

路線価は毎年7月に国税局が発表し、土地を相続または贈与された時の相続税や贈与税の計算で用いられます。

固定資産税評価額

固定資産税を決める時に使う土地価格で、各市町村が決定します。

固定資産税の他、都市計画税や不動産取得税、登録免許税などの算出基準にも使われる価格です。

土地のみを売却する時の査定方法と評点

土地の査定は「取引事例比較法」で行われます。

あるいは、公開されている「路線価」を使って、査定前にご自身で土地の相場を調べることも可能です。

取引事例比較法を使った土地査定額の算出方法

取引事例比較法では、以下の流れで査定額を求めます。

  • 事例地単価×(査定する土地の評点÷事例地の評点)×査定する土地の面積×流通性比率

式に登場する用語の意味と、計算の流れを詳しく見てみましょう。

1)事例地単価を求める

取引事例比較法における査定では、まず、査定対象の土地に似た「事例地」を探します。

事例地の成約価格を事例地の面積で割り、1平方メートルあたりの価格にしたものが「事例地単価」です。

例えば、100平方メートルの事例地が2,000万円で売れた場合、事例地単価は20万円と計算します。

2)査定する土地と事例地の評点を求める

不動産査定における「評点」とは、査定する不動産の良い所・悪い所を評価した点数のことです。

土地査定における評点の例:

  • 交通の良さ(駅までの距離など)
  • 生活利便施設の量または距離
  • 環境(景観、日照条件、方角、騒音など)
  • 土地の形
  • インフラ状況(下水、ガスなど)
    など

上記の項目ごとに、査定地と事例地それぞれで、100点を基準として点数を付けます。

査定地の評点が105点、事例地の評点が100点であれば、取引事例比較法の計算式では105÷100=1.05という数字が出ます。

3)査定する土地の面積を乗じて流通性比率を加味

事例地単価が20万円、評点の比較結果が1.05点、査定する土地の面積が110平方メートルだった場合の土地査定額は、取引事例比較法の計算式に当てはめると以下のように求められます。

  • 20万円×1.05点×110平方メートル=2,310万円

上記の査定額に、最後に「流通性比率」を加味して最終的な査定額を調整ます。

流通性比率とは、査定対象の不動産の「流通性(売れやすい・売れにくい)」を表した比率です。

流通性比率は1.00を基準とし、土地の査定では、

  • 売れやすい場合:プラス7%
  • 売れにくい場合:マイナス7%

の範囲で比率を決定し、査定額を調整します。

土地の価格は路線価でセルフ査定も可能

土地価格は、国土交通省が公開している路線価図を使って、ご自身で算出することも可能です。

路線価図には、各道路ごとに「130D」や「145D」などの形で価格が記載されています。

路線価は千円単位ですので、130Dと記載されている場合、その道路に面した土地の価格は1平方メートルあたり13万円です。

なお、路線価のアルファベットは借地権割合を示しており、借地の評価時に使用します。

100平方メートルの土地で、路線価が135の道路に面していた場合は、13万円×100平方メートルで、1,300万円と計算することが可能です。

路線価額は公示地価より金額が安い

路線価で求めた土地価格は、公示地価の約80%になるよう設定されているため、路線価額を1.25倍することで、不動産会社の査定額に近くなります。

なお、路線価額を厳密に求めるためには、土地の形や面している道路の数、奥行きなどの補正を加えなければなりません。

そのため、路線価で算出した土地価格は、あくまでも査定の目安とお考えください。

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建物付き土地を売却する時の査定方法と評点

不動産 査定 評点

土地に付属している建物は、「原価法」で価格を求めます。

原価法における建物付き土地の査定方法

土地価格は先ほど紹介した取引事例比較法で計算できますが、建物の査定額は「原価法」で計算することが一般的です。

なお、原価法で求めた不動産価格は「積算価格」と呼ばれます。

原価法の計算方法と評点

  • 再調達原価 – 減価

再調達原価とは、同じ建物をもう一度建築した時にかかるコストのことです。

減価は、査定する建物に残っている経済的な価値に応じて決まり、建物の経済的な価値が続く期間を「経済的耐用年数」と呼びます。

経済的耐用年数は、以下の評点に基づいて客観的に判断されます。

  • 物理的要因:経年劣化による摩耗や損傷など
  • 機能的要因:旧式の設備、不便な間取りや構造など
  • 経済的要因:エリアの人気低下に伴う不動産的価値の減少など

建物付き土地を査定する時の注意点

建物の築年数が約20年以上経過しており、かつ経済的耐用年数がほとんど残っていない場合、建物付き土地の建物部分は評価されず、「古家付き土地」として土地価格のみで査定されるケースがあります。

ただし築20年超えの建物でも、建物の管理が行き届いていたり人気エリア内に位置していたりするなど、市場価値が見出だせる物件であれば、高く評価してくれる不動産会社があるかもしれません。

その際、根拠となる情報など良く担当者にヒアリングすることが必要です。

高い価格で売り出し募集を開始し、結果値下げをしないと売れないとなると無駄なランニングコストがかかったり、売却期間を無駄に長く費やしてしまうことになります。

複数社の不動産会社に査定を依頼して、建物に経済的価値が残っているのか、または古家付き土地として売るべきか、不動産会社に買取してもらった方がいいのか、仲介で売却したほうがいいのかなど、複数の査定結果を元に判断しましょう。

不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?

ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。

正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。

そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!

「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」

「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」

そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。

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一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。

後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!

この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社worth style home 濵田昭平

株式会社worth style home

濵田昭平

2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。

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