2024年01月30日更新
住宅ローンの残債の計算方法や売却について
住宅ローンの残債の計算方法とは?
住宅ローンの返済額は、元金と利息が組み合わさっているため、現時点で残債がいくらになるのかすぐにはわかりません。
それでは残債を知るためにはどうすればいいのでしょうか。住宅ローンの残債の計算方法を見ていきましょう。
住宅ローンの残債計算に必要な情報
住宅ローンの残債計算をするにあたっては、次に示す情報が必要になります。
- 借入金額
- 当初返済期間
- 金利
- 残債計算時の残り返済期間
住宅ローン残債の計算方法
具体的に数値を想定してシミュレーションしてみましょう。
ここでは次のように仮定します。
- 借入金額…3千万円
- 当初返済期間…35年
- 金利…1.0%
- 残債計算時の返済期間…20年
残債の計算に際しては、まず当初の返済月額と残債計算時の返済月額を算出します。
計算式は次のとおりです。
返済月額=借入額×【月利×(1+月利)^返済回数/(1+月利)^返済回数-1】
月利とは金利を月数で割ったものです。
今回のケースでは「1%÷12=0.0083%」となります。これに基づき返済月額を計算すると次のような結果になります。
- 当初返済月額:84,658円
- 残債計算時の返済月額:138,002円
次にこれらの返済月額の割合を計算します。
(当初返済月額)84,658円÷(残債計算時の返済月額)138,0002円=0.6134
この比率に借入金額を乗じます。
3千万円×0.6134=18,402,000円
この結果によって、残り返済期間20年の時点の残債は、約1,840万円だということが判明します。
住宅ローンが残っていても不動産売却できるかについて
必要に迫られ自宅を売却したい場合、住宅ローンが残っていたらどうなるのでしょうか。
住宅ローンが残っている物件の不動産売却について見ていきましょう。
ローン残債を支払えない人は多い
入念な計画の上で借りたはずの住宅ローンですが、無理な返済や雇用状況の変化などによって、住宅ローンを支払えなくなった人は案外多くいます。
住宅ローンが返済できない事態に陥れば、経験のないことだけに対処方法に戸惑う人もいるのではないでしょうか。
はたしてどうやって乗り越えればいいのでしょうか。
住宅ローンが残っていても不動産売却はできる!
住宅ローンが残っている家は、不動産の売却ができないように思えますが、実際のところ売却は可能です。
まず問題点を整理してみましょう。
売却するうえでネックになるのは、金融機関の抵当権が設定されている点です。
売却手続きを進めていっても、最終的には抵当権を外さない限り売却はできません。
家が高く売れればスムーズに売却できる
金融機関としては、住宅ローンを完済してもらえれば、当然抵当権を解除します。
したがって、自宅に残債よりも高い価格がつけば、抵当権が解除されてスムーズに売却ができるのです。
残債を自分で支払う「一般売却」について
ところが現実には、住宅ローンの残債よりも売却額が下回ることがあります。
しかし不足分を自己資金で補えるのであれば、金融機関に一括返済が可能ですから、大きな問題は生じません。このように自己資金で残債を支払うことを「一般売却」といいます。
住宅ローンが残った状態で不動産売却する方法について
自宅を売却したくても、売却額の相場が明らかに住宅ローンの残債よりも低い場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。
住宅ローンが残った状態で不動産を売却する方法を見ていきましょう。
「任意売却」なら残債有でも売却できる
住宅ローンの返済が不能になった場合「任意売却」という方法によって売却することが可能になります。
任意売却とは、債権者である金融機関の同意を得て売却活動を行うものです。
金融機関としてもリスクを伴うので、あまり積極的に同意するわけではありませんが、仲介の不動産会社が売却相場等の資料を整えたうえで交渉を進めることで、任意売却を行うことができます。
物件の販売活動は、一般の売却方法と変わりないため、競売とは異なり市場価格に近い価格で売却することが可能になります。
ただし買手が現れても、売却価格については事前に金融機関の同意が必要になります。
これにより残債よりも高値で売却ができれば、一括返済をすることで債務が解消できます。
任意売却は一般的に次のような流れで進められます。
- 不動産会社に相談……任意売却専門の会社に依頼します。
- 銀行に相談……不動産会社に交渉をしてもらいます。この段階を飛ばすと、一気に競売手続を進められてしまいます。
- 現況確認……税金の滞納があれば、自宅を差し押さえられる可能性があります。そうなると売却ができません。また他にも債務がないかの確認も必要です。連帯保証人などの関係者も洗い出します。
- 不動産の査定
- 不動産会社と媒介契約を締結
- 債務者や保証人と交渉……任意売却をすることについて全員の同意が必要です。
- 任意売却の開始
- 購入者の選定
- 債権者の同意……売却価格について承認が必要です。
- 任意売却契約の締結
- 引越し
- 金融機関に債務を一括返済
任意売却は誰でもできるわけではない
住宅ローンは、「期限の利益」という権利によって、分割返済が可能になっています。
順調に返している場合は、なんの問題もありませんが、滞納をするとこの期限の利益が喪失します。
期限の利益が喪失すれば一括返済が大原則になります。正当な理由なく滞納していれば、金融機関は容赦なく競売手続きに入るでしょう。これを阻止するための対抗措置は何もありません。
しかし金融機関も社会的立場があることから、失業や疾病などのやむを得ない事情がある人に対しては、救済措置として任意売却に同意する方向で検討してくれることがあります。
任意売却は、当然の権利として実現できるのではなく、債権者の同意が必要であることから、金融機関が任意売却の同意に値するだけの理由がないと行うことはできません。
プロに相談してしっかり売却プランを立てることが大事
任意売却は債権者である金融機関ばかりでなく、連帯保証人や保証会社などの同意も必要になります。
交渉相手が多くなるほど、時間を要し課題も多くなります。
しかも金融機関が最も関心があることは、はたして住宅がいくらで売れるのかという点ですから、売却査定について根拠ある資料を示してのぞまないと、交渉は前に進まなくなるでしょう。
このように任意売却は解決すべき課題が多く、個人の力で進めていくことは極めて困難であることから、プロの力を借りて進めるのが最も合理的な方法だといえるのです。
任意売却は通常の不動産取引とは異なり、関係者との交渉という業務が付加されます。
通常の不動産会社では、こうした業務を行っている会社は少ないことから、任意売却に際しては、任意売却を専門にしている不動産会社に依頼した方がいいのです。
不動産売却を依頼する際の業者の選び方について
不動産を売却するに際しては、仲介する不動産会社の選定が非常に重要な要素になります。
まずは直接不動産会社に足を運び会社の雰囲気をつかむことが大切です。
協力的でない会社は、末端の社員にまでその態度が現れると考えられます。
一方で売却活動を熱心にやってくれる会社は、末端の社員にまで教育が行き届いているでしょう。
じっくりと話を聞いてくれて、不動産に関する質問にも的確に応えてくれるような不動産会社であれば、有力な候補となり得るでしょう。
不動産会社には、それぞれ得意としている物件があります。一戸建てと中古マンションでは売り方のポイントがまるで違うので、同じ不動産でも専門が異なれば売却能力の差が歴然と出ます。
また売却エリアにも得手不得手があります。売却したい物件の周辺で一戸建てを探している客がいないか聞いてみるのもいいでしょう。
何人か検討している人がいるようであれば、早い段階で契約が成立する可能性が高くなります。
この展開になると、不動産会社の方としても自社で売主と買主の仲介ができるのですから、熱心に売却活動に励んでくれる可能性が高いのです。
得意なエリアであることを確認するために、地域内での成果実績を聞いてみるのもいいでしょう。
成果がいくつかあれば、そのエリアを得意としている不動産会社の可能性があります。
また、一括で複数社に査定を依頼できるウェブサイトも大いに活用しましょう。
回答のあった不動産会社であれば、対応に前向きだと考えられます。
その際、込み入った売却事由の案件である旨が伝わるよう詳細情報など入力する必要があります。
ただし高い査定だったからといって適切な対応ができる不動産会社とは限りません。
実際に買い手がつく適切な金額を提示した不動産会社が信頼できる業者だと言えるでしょう。
不動産は売却の売り出しが始まったら、購入希望者が内覧に訪れます。
少しの印象で買手の心理は大きく変化しますから、常に清掃を心がけておくことも重要です。
また小さなひび割れやクロスの剥がれなど、自分で補修できるようなことであれば、あらかじめ補修したうえで内覧に臨むことも大切なポイントです。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
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