2020年08月19日更新

監修記事

競売後の住宅ローン残債と時効についての解説!

競売後の住宅ローン残債に時効はあるの?

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競売によって住宅ローン残債を返済しても残債が残っている場合、競売後も返済を続けていかなければなりません。

もし、この住宅ローン残債の返済を行わなかった場合、時効によって住宅ローン残債は無効となるのでしょうか?

民法では、「権利の上に眠るものを保護しない」というものがあります。

これは、債権があったとしても督促などの手続きを行っていなければ権利が消滅してしまう、つまり時効があると言うことを表しており、住宅ローン残債についても同様に扱われるのです。

ただ、時効については金融機関の形態によって期間が決まっており、株式会社である銀行やノンバンク等の場合は5年、特別法で規定されている住宅金融支援機構や信金、労金、農協などは10年と設定されています。

また、金融機関の債権が保証期間である住宅再建管理回収機構に移行した場合には、時効が最大約10年となるようです。

住宅再建管理回収機構の時効については、借入者の状態や民事裁判の判例などによって変化します。

競売後の住宅ローン残債に対する「時効の援用」とは

時効の援用とは、最後の返済から時効までの期間が経過している、時効期間中に金融機関、債権者から裁判を起こされていない場合に行うことができる手続きです。

この条件を満たしている場合、内容証明郵便を用いて時効援用通知書を債権者に送れば借入を無効とすることができ、借金の返済義務がなくなります。

債権には時効があり、これを過ぎると返済義務がなくなると思われがちですが、実際にはこのように援用の手続きを行わなければ借金がなくなることはありません。

手続きについては、内容証明郵便を用いて時効援用通知書を送付する方法が一般的ですが、法的には電話等で時効を援用すると伝えるだけでも可能です。

しかし、この方法では時効の援用を行った日時を法的に証明することが難しく、債権者側とのトラブルになる可能性が高いため、あまりおすすめはできません。

内容証明郵便なら、どのような文章をいつ誰に送ったかと証明してもらえるため、このようなトラブルの発生を防ぐことができるでしょう。

また、内容証明郵便を発送する際に配達証明をつければ、いつ相手に配達されたかも証明することができるため、送らなかった、受け取っていないといったトラブルも防止することができます。

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競売後の住宅ローン残債の時効が中断することはあるの?

時効はさまざまな理由で期間が中断されることがあります。

民法で定められている時効の中断事由では、民法147条にある「請求」「民事執行」「承認」があり、このどれかの手続きを行うことで時効期間を中断し、時効期間の計算をやり直すことができるのです。

請求

民法上、請求として扱われるのはどのようなものがあるのでしょうか?

裁判上の請求

裁判上の請求とは、訴訟を起こして借金の支払いを求めた場合に対象となる項目です。

裁判を起こすことで時効を中断するため、もし訴訟が取り下げられた場合には時効中断の効力がなくなります。

支払督促の申し立て

支払督促の申し立てとは、金銭等の貸付の返済が行われない場合に、申立人のみで行うことができる手続きです。

簡易裁判所で行うことができ、書類さえ揃えれば申請することができます。

裁判所から支払いを命じる支払督促が発行されれば時効が中断されます。

和解及び調停の申し立て

和解とは、簡易裁判所に申し立てを行って実施されるもののことです。

当事者間で話し合いを行い、合意が得られれば時効が中断されます。

ただし、相手方が裁判所に出頭しなかった場合や、和解ができなかった場合については時効の中断を行うことができません。

調停については、裁判所が介入して当事者間の合意を得る手続きで、主に紛争処理に用いられる制度です。

こちらも和解の場合と同じく、相手方が出頭しなかった場合や、不調に終わった場合には時効は中断されません。

破産手続参加

破産手続参加とは、債務者が破産手続を行った際に、債権者が一定期間内に債権額を届け出た場合、適用される中断事由です。

一般的には破産すると債権が放棄されることが多いのですが、資産売却等である程度の返済が可能な場合、破産手続参加を行うことによって一定額の分配を受けることができます。

時効については、届け出を行って破産手続参加が認められれば中断されますが、取り下げたり却下されたりした場合には時効の中断は行われません。

催告

催告とは、裁判以外で行われる請求のことです。

口頭での伝達や手紙でも行うことができますが、証拠を残すために内容証明郵便が用いられます。

催告を行うと時効を中断させることができますが、あくまで時効が近づいた場合に最大6カ月延長することができるという仕組みのものです。

催告によって延長された時効までに訴訟等の対応をとらなかった場合、期限が過ぎた時点で時効は完成します。

民事執行

民事執行とは、請求権や担保権を強制的に実現するための手続です。

住宅ローンの場合は、抵当権が設定されている物件に対し、裁判所が差し押えを行う強制執行や、競売による債権者への配当などがこれにあたります。

差し押さえ

差し押さえとは、債権者の権利を実現するために行われるもので、国が債権者に対し財産の処分を禁止します。

この財産とは、不動産、動産、債権などで、住宅ローンの返済が滞っている場合には、抵当権が設定されている不動産が主な対象です。

ただし、不動産を処分しても完済が難しい場合には、預金や家財道具等の資産も差し押さえられることがあります。

時効については差し押さえが実行された段階で中断されるため、銀行が物件を競売にかければ、その時点で時効は中断されますが、競売が取り下げられた場合については中断そのものが無効として取り扱われます。

仮差押えまたは仮処分

仮差押えとは、返済のために強制執行(差押さえ等)の申請中に財産が処分されてしまうのを防ぐために行われる手続きです。

不動産やさまざまな債権などの財産が対象となり、仮差押えが行われると自由に処分することができなくなります。

時効については、差押えと同じく申し立ての段階で中断し、取り下げられた場合は中断されていた期間そのものが消滅します。

承認

承認とは債権の承認ともいい、時効期間中に一度でも借金していることを認めた場合に対象となるものです。

つまり、時効が5年だった場合、5年のうちに一度でも借金があると認めれば、その時点で時効が中断し、認めた時点から再度時効のカウントが始まります。

承認は返済や支払い猶予の申し入れも対象です。

例えば、少額でも返済を行った場合や、金融機関からの電話連絡に対して支払いを待って欲しいと答えた場合は承認として扱われ、時効が中断されます。

競売後の住宅ローン残債が時効になっていなかった場合の対処とは

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不動産を競売したにも関わらず、住宅ローン残債があり、時効となっていなかった場合にはどのように対処すれば良いのでしょうか?

財政的に余裕があり、少額でも返済が可能な場合には、債権者と協議して借金を減額したり、支払いに猶予を持たせたりする任意整理を行うと良いでしょう。

任意整理と似た返済方法としては、他に「個人再生」というものもあります。

これは、債務総額が5,000万円以下である場合、再生計画に則った返済が可能ならば借金の額を減らすことができるという制度です。

適用のためには債権者の半分の同意が必要ですが、債権の額を大幅に減額することができます。

債権整理では、これらの手続の他に「自己破産」というものもあり、こちらは収入などの理由で返済の継続が難しい場合に、裁判所に申し立てを行い、借金を解消する方法です。

自己破産を行えば債務を全て帳消しにすることができますが、一定以上の価値がある財産は全て換金され債権者に配当されるため、家などの資産はほぼ全て手放すことになるでしょう。

債務整理をしなかった場合はどうなる?

債務整理を行わず、残債の返済を放置した場合、訴訟が起こされたり連帯保証人に請求が行われたり、給与が差し押さえられたりします。

残債については、時効を期待して放置するのではなく、司法書士や弁護士などの専門家に相談し、債務整理を実施してこれらのトラブルが起こらないよう、何らかの手段を講じることが大切です。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社worth style home 濵田昭平

株式会社worth style home

濵田昭平

2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。

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